【ハイキュー!!】傍観希望者は勘違いされがち

29.月島くんにはツンデレであってほしい ページ32

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No side



『すっ…ご、』


日向のバネにざわつく部員たち。そしてそれはAも例外ではなく、ただ呆然と彼を見つめていた。しかし、


『(…日向くんには、バネはある。速さもある。…でも、技術伴っていない。)』


月島のブロックに何度も引っかけている彼を見て冷静に分析、それを持参のノートに書き込んでいた。チームの司令塔であるセッターとしての長い経験によってAの分析能力は高められていた。日向だけではない、一人一人のプレーを観察し、スコアを取りながらもノートに特徴を記していく。


『(田中さんはパワー型だけど打ち分け上手いな…澤村さんは全体的安定してる、月島くんはやっぱりブロックがすごい。ふむふむ…)』


Aが黙々と書き込んでいる内に、月島が再び影山を挑発し始める。怪しい雲行きに気がついたのか、Aはノートに向けていた視線を上げた。


月島「"コート上の王様"、意味は＿＿＿


自己チューの王様、横暴な独裁者。

噂だけは聞いたことあったけど、あの試合見て納得いったよ。

横暴が行き過ぎてあの決勝、ベンチに下げられてたもんね。」


影山が顔を歪める。Aもまた、影山の表情を見て悔しそうに顔を歪めた。彼の思いを少なからず理解しているつもりであったAは、自分が無力であることを悔いたのだ。



日向「えっ、でもソレ中学のハナシでしょ？

おれにはちゃんとトス上がるから、別に関係ない。」


さも当然のように言った日向の言葉に皆が振り向いた。天然の与える影響力は大きいものである。その言葉に先程までの息苦しさがいとも簡単に緩んだAはふふっと笑った。彼女の笑いで本格的に緊張が緩んだのか、田中、澤村も吹き出す。


『…うん、日向くん、ナイスだ…！飛雄っ、がんばれ…！』


にこっと微笑んでそう声を張った。日向は美女に何か知らないが褒められたことで顔を赤くして田中や影山に「ほ、褒められた！おれ！！」とかなんとか報告している。影山はAをちらりと見て小さく頷いた。



『飛雄×日向くん…ありだな…ｯ』


再び試合が再開された中、新しい可能性が目覚めたAの小さな呟きは誰にも聞かれることなく静かに消えたのだった。



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