彼女の恋は終わりから始まった。 Part.3【名前変換】 (ページ9)

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■Story.109 ページ9

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あ「一人で帰れるよ。」

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和也「その割に、俺の袖ちゃんと掴んでますけど?

ほら、帰りますよ……一緒に。」

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自分でも何て矛盾したことをしてるんだろうと思った。

でも、自然と手を伸ばしてしまっていた。

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和也「ほら、コートも持ってきたし。

俺と仲良く帰りましょうよ。」

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体を起こすとコートがふわっとかけられた。

袖を通し終れば今度はマフラーが首に巻かれて、

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君は優しく笑った。

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あ「二宮…………」

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和也「ん?」

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コートのポケットではなく制服のポケットから

私はあるモノを取り出した。

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ずっとポケットに入れていたからあったかいのかな

とか思ってたのに、想像以上に冷たくて。

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あ「最後のお願いがあるんだけど……」

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和也「別に最後じゃなくていいから。

俺は鈴森のお願いなら何でも、何度でも叶えてあげますよ。」

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優しすぎて泣きたくなる。

いつからこんなにも弱くなっちゃったのかな。

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再び涙が零れないように真っ白な天井を見上げて

そっと瞼を閉じた。

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今日ですでに終わっていた恋が終わる。

ううん、終わるんじゃなくて……消えるんだ。

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全て“あの日”の前に戻って、

あの日から今までが無かったことのように消える。

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二人で学校を後にしてある家の前で足を止めた。

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学校が早く終わったし、今日は萌々香ちゃんとデートかな。

鞄からスマホを取り出して、貴方の連絡先をタップする。

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あ「一人だと揺らいじゃうから……今だけ傍にいて。

絶対言えなくなっちゃうから……これが私のお願い。」

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