彼女の恋は終わりから始まった。 Part.3【名前変換】 (ページ25)

今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:358,657 hit

◇Story.125 ページ25

＊

＊

＊

翔Side...

俺の肩を押し返すAの力は女なんだと

感じさせるもので、

萌々香の甘い香りとは違う香りが鼻をくすぐった。

・

俺から逃げようと家に入り込もうとするAの

萌々香よりも華奢なんじゃないかと思う腕を掴んで

再び唇を塞げば、力が入らないのか抵抗が弱まってきて

離れれば不安げな瞳が俺を捉えていた。

・

あ「翔が何考えてるか……分かんないよ。」

・

そう言って、俺の腕を振り払い自分の部屋へと駆け上がっていき

俺もその後を追いかけて階段を昇る。

・

そして、部屋に入った瞬間に肩を掴んで首筋に顔を埋め

唇をそこに這わせると、んっという甘い声がもれた。

・

翔「そっちだって……何考えてんの?」

・

二宮と会ってたんだろ?聞かなくたって分かるんだよ。

綺麗におめかししちゃって……

・

そんな簡単に二宮に乗り換えられるの?

俺らの関係ってそんなもんだったの?

・

萌々香との関係を続けながらこんなことをしてる俺に

言う資格なんてないのが分かっているからその言葉は飲み込んで。

・

Aの手首を掴み、久しぶりに触れたその体に

懐かしさを感じる俺は本当に救いようのない人間だ。

・

二宮も触れたのか?

二宮はどんな風に抱いてんの?

・

ベッドに二人の体が沈む中、

俺の頭はそんなことばっかり考えていて

Aが瞳に涙を浮かべているのを

気づかないふりして最後まで続けた。

・

そして、全てが終われば最後にぽろっと

彼女の瞳から涙が零れて、

・

でも、それにも俺は何も言わず。

その涙を掬うこともなく。

・

落ちたYシャツを拾い上げ、身なりを整えて部屋を後にして。

ドアを閉め、そのドアにもたれかかって数分。

・

彼女の声が俺とは違う名を呼んで、

・

心の奥底で何かが割れた音がした。

＊

＊

＊