彼女の恋は終わりから始まった。 Part.3【名前変換】 (ページ3)

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■Story.103 ページ3

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“貴方”のことで傷ついた時に

いつも“君”が私に手を差し伸べてきていた。

・

偶然だと思った。

人に気を遣う彼のことだから他の人の感情に敏感なのかなって。

・

けどね、毎回毎回……そんなのありえないよ。

偶然が偶然を呼ぶって言うけれど、

・

きっとね、彼の場合は偶然を装っているだけ。

・

あ「本当は知ってるんでしょ……知ってて

知らないふりしてるんでしょ。」

・

じゃないと、あんなタイミングよくまるで絵本の中の

王子様みたいに登場しないと思うの。

・

薄々二宮にバレてるかなぁとは思っていたけれど

私も彼の優しさに甘えて

自分のことを自分で知らないふりして逃げてただけ。

・

泣き顔を見られたくなくて顔を覆うと

ガラガラっと椅子を引く音が聞こえて

・

おそらく、二宮がベッド脇にパイプ椅子を持ってきたんだと思う。

・

あ「幻滅したでしょ……私、最低な女なんだよ。」

・

クラスメイトが付き合ってる彼氏に平気で手を出す女なんだよ?

平気で寝る女なんだよ?

・

手で押さえつけても涙は止まらなくて、

指先で拭おうとすれば

肩がぎゅっと掴まれて泣き顔をさらす羽目になった。

二宮がゆらゆら揺れている。

・

こんな顔を見せたくなくてまた背を向けようとすれば

今度は指先がぎゅっと掴まれる。

・

そして、冷たい指先が私の頬を優しく撫でて涙を掬った。

・

和也「俺は……何も知りませんよ。

それに鈴森のことを最低って思ったこと一度もねぇし。」

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