彼女の恋は終わりから始まった。 Part.3【名前変換】 (ページ17)

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□Story.117 ページ17

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白いマフラーに顔を埋めるAの考えてることは

良くも悪くもすぐわかる。

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昔ほど……じゃねぇけどさ、瞳の色を失う時は今もある。

ずっと見てきたから分かんのよ。

・

アイツを思い出してんの……分かってんだ。

けど、思い出すな、何て無理だから。

・

思い出していても……俺の傍にいてくれるんだから

それだけでいい。

・

それだけで、十分で。

何も言わずに自分の手とAの手を重ねて

ポケットへと突っ込んだ。

・

そうするとAは一瞬びっくりした表情を見せたけど

冷たい、何て言って小さく笑う。

・

あ「二宮って……本当に何考えてるか分かんないね。」

・

和也「そう?俺はAが何考えてるか分かりますけどね。」

・

あ「それ単細胞って言いたいんでしょ。」

・

ぷくーっとほっぺを膨らませて、ぷいっと横向いて。

俺は誘われるままにほっぺに人差し指を突き刺した。

・

そうすると、風船ガムが割れた時みたいに

しゅんっとほっぺがしぼんで、ゆっくりと視線がこちらに向く。

・

それだけで、本当に幸せなのは俺だけ?じゃないよな。

・

和也「そこまで言ってないでしょ。

ただ大好きなAのことはよくわかるって言ってんの。」

・

冬だというのに、少し桜色になったそのほっぺは

白いマフラーにいとも簡単に隠れた。

・

和也「照れてるでしょ。」

あ「照れてないし。」

・

和也「じゃぁ、何で顔埋めてんの。」

あ「寒いから。」

・

和也「ふふ、Aって可愛いね。」

あ「ホント……二宮って何考えてんの。」

・

はたから見れば本当に中身もない二人の会話だけど

俺らはそれで楽しいからいいんだ。

・

和也「何考えてるって……そりゃ、Aのことを

常に考えてるに決まってんでしょ。」

・

俺がそう言うと、Aはもっとマフラーに顔を埋めた。

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