彼女の恋は終わりから始まった。 Part.3【名前変換】 (ページ11)

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■Story.111 ページ11

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ぎゅっと包み込まれた手は引っ張られ、

どこ行きかもしらないバスに乗り込むことになった私。

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二宮がピッとして、私もピッとして。

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言葉を交わすことなく、空いている席に二人並んで座った。

もちろん、それからも何も言葉をかけられること何て無くて

二宮は窓の外の景色をボーッとみているだけ。

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だから、私もおとなしく座っていた。

そうすると、どんどんと人が減っていき気づけば終点。

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来たこともない場所だった。

降りれば、冷たい潮風が私たちを出迎えて

二宮は普段以上に猫背になっている。

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マフラー貸してあげようかなぁ、と思ったけど

中々それが言葉にできなくて足元ばかり見つめていれば

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またぎゅっと手が包み込まれた。

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和也「マフラー、ちゃんと自分の首に巻いておいてくださいよ。

また風邪ひいたらさ……俺、悪者でしょ?」

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君は私の心が手に取るように分かるみたいだけど

私は君の心が一番よくわからない。

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いっつも冗談ばっかりいってきて

いっつもイタズラっぽい笑みで誤魔化されて。

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だから、本当に何考えてるか分かんないの。

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和也「俺ら、季節はずれなこと多いね。」

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砂浜に足を踏み入れれば、深く足が沈む。

砂が入らないように二人で歩き、波打ち際まで行くと

二宮がポケットから取り出した。

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和也「多分さ、俺……に預けても無駄だと思うだよね。」

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物珍しそうにネックレスを二宮は見つめて

視線をこちらに向ければほらね、やっぱり……いたずらに笑う。

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和也「俺、鈴森が泣いてたらきっと返しちゃうし?

捨てろって言われたって、絶対捨てらんねぇの。

泣いてる顔何て簡単に想像つくし。」

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また、私のところに戻ってきた翔からの贈り物は

温かかった。

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きっと、バスの中で二宮がずっと握ってたんでしょ?

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和也「預けるならさ、俺じゃなくて

この広い海に託したほうが正解でしょ。」

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