白波の向こう側【OP】 (ページ8)

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ひやりとした空気が流れてくるのが心地よく、視界の端に走った影を追って空を見上げれば氷を纏った美しい龍が舞っている。冰龍イヴェルカーナなどそうそうお目にかかれるものではない。

お茶が冷めないうちにと彼女は言っていたが、空気がかなり冷えてきていて既にぬるくなってしまっているだろう。古龍が引き起こす事象の前ではポットカバーなど無いも同然である。

リベラがアイスティーのおかわりをグラスに注ぎ始めた頃ようやくヴィアベルが戻ってきた。

｢ただいま。タルトレットはまだあるかい？｣

｢ちゃんと残してある、お茶は冷めたがな｣

｢ああ……｣

残念そうな声を出したって温かいお茶には戻らない。しょげた様子で冷めたお茶を口にする彼女の取り皿に1口サイズのエクレアを乗せてやった。