第1話 那田蜘蛛山へ【那田蜘蛛山編】 ページ8
_ひなのsaid_
__あれから六年
『(今回の任務も無事に終わってよかったぁ。)』
任務を終え、私、天柱・天宮ひなのは自分の屋敷へと足を進めていた。
鴉「那田蜘蛛山へ向カエ!」
私の鎹鴉が羽をばたつかせながら用件を伝える。
『那田蜘蛛山?』
鴉「十二鬼月ガイル可能性ガアル!」
『十二鬼月……。』
鴉「水柱・冨岡義勇、蟲柱・胡蝶シノブノ両名ガ向カッテイル!」
『しのぶさんと冨岡さんが?』
鎹鴉の話によると、十名の隊員が那田蜘蛛山へ調査に出向いたものの、あまりの鬼の強さに死傷者が多数出たとのことだ。
更に、その報せを一匹の鎹鴉がお館様に伝えたらしい。
柱を二名向かわせたが、被害がどれ程のものかまだ分かっていないため、念のため近くにいた私にも行ってもらいたいとのことだ。
『………そっか、犠牲者が出たんだね。』
私は目を閉じて俯いたが、すぐに切り替えるように目を開いて顔を上げた。
『那田蜘蛛山ってどっちなの?』
鴉「南西へ真ッ直グ走レ!スグニ着ク!」
『ありがとう。』
『しのぶさんと冨岡さんはもう着いてるよね。どこだろう?』
山の中を見渡しながら奥へと進んでいくと、見慣れた二人の後ろ姿を見つけた。
『しのぶさーん、冨岡さーん!』
冨「……天宮。」
蝶「ひなの、早かったですね。」
『伝令が来てすぐにこっちに来たので。』
更に森の奥へ三人で進んでいくと、少し広めの場所へ出た。そこには数人の隊士が横たわっていた。
冨岡さんは横たわっている人達の前で立ち止まり、しのぶさんは隊士達の容態を見ている。
『しのぶさん、まだ亡くなっていない人がいるなら私が……』
蝶「ひなの、私はいつも言っていますよね?自分の命をもっと大切にしなさいと。」
『でも、助かる命があるなら私は自分のことよりもその人のことを優先します。』
蝶「………残念ですが、皆さんもう亡くなっています。」
嘘をついているのではないか、と思った私は一人一人の脈を確認するが___嘘ではなかった。
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作者名:八重桜 | 作成日時:2019年9月4日 17時