突然 ページ5
ひなのが父と稽古を初めて約二年が経った。
いよいよ最終選別が明日に迫った夜。
「ひなの、明日はこの羽織を着ていきなさい。」
『ありがとうお母さん!』
「絶対生きて帰ってくるのよ?」
『もちろん、約束する!』
「あれだけ厳しい稽古に耐えてきたんだ!
大丈夫に決まってる!」
『確かにね…(苦笑』
「頑張ってねお姉ちゃん!」
『うん!』
母が明日のために用意してくれた羽織を手にしながらそんな会話をしていると、
バァンッ!!!!
突然家の扉が何者かによって突き破られた。
その衝撃によってか家の中の明かりは消えてしまい、何も見えなくなる。
『!?』
真っ暗なためぼんやりとしか見えないが、黒い大きな何かが彼女の前を横切った。その瞬間、
「ひなの、ひな!危ないから逃げ……(グシャッ」
「お、お母さ………(グシャッ」
二人の声が聞こえたものの、すぐに何かが潰される音でかき消されてしまう。
『お母さん!?ひな!?』
声のする方へ手探りで進もうとしたとき、誰かに手を引かれ家の外へと飛び出した。
「ひなの!父さんの後ろにいろ!」
『お父さん!?で、でもお母さんとひなが……!』
ひなのには何故父が鬼を斬るために使用する“ 日輪刀 ”を手にしているのか分からなかった。
「…………鬼だ。鬼が襲って来たんだ。」
『え……?お、鬼?』
ひなのが再び真っ暗な家の方へ目を向けると、屈強な体つきの大きな鬼が家の中から出てきていた。
「ひなの、ここは父さんに任せて村の皆に鬼が出たということを伝えに行ってくれ。」
『わ、分かった!』
元柱の父のことだから大丈夫だ、と自分に言い聞かせひなのは必死に走った。
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作者名:八重桜 | 作成日時:2019年9月4日 17時