第29話 十五日後 ページ38
_NOsaid_
__十五日後
夜になっても炭治郎の訓練は終わらない。
炭「(よし、かなり体力が戻ってきた。
そして以前よりも走れるし肺も強くなってきたぞ、いい感じだ。)」
炭治郎はひなのの助言通り、四六時中全集中の呼吸をやる訓練を続けている。
炭「(昼間は走り回って速い動きで肺を酷使してるから今はゆっくり、ゆっくり深く呼吸して指先まで空気を巡らせる。
瞑想は集中力が上がるんだ。
鱗滝さんも言ってた、鱗滝さ……)」
今、彼の頭の中には育手であり師匠でもある元水柱・鱗滝左近次と刀を担当してもらっている鋼鐵塚の顔が浮かんでいた。
那田蜘蛛山での戦いで刀を折ってしまい、今刀を打ち直してもらっているのだが、彼に対して申し訳なさでいっぱいのようだ。
炭「(十二鬼月と戦ったのに血を採れなかったし、猫が責めるように俺を見てた……。)」
蝶「もしもし……。」
炭「(いや、集中!集中だ!)」
蝶「もしもし…。」
炭「(呼吸に集中!!)」
蝶「もしもし。」
炭「ハイッ!?」
いつの間にか彼の隣には柱の一人である胡蝶しのぶの姿があった。
蝶「頑張ってますね。
お友達二人はどこかへ行ってしまったのに、一人で寂しくないですか?」
ぽっと顔を赤くする炭治郎。
美しい女性がすぐ隣にいるのだから無理はないだろう。
炭「いえ!
できるようになったらやり方を教えてあげられるので!」
蝶「……君は心が綺麗ですね。」
炭「………。」
蝶「………。」
炭「………あの、どうして俺達をここへ連れて来てくれたんですか?」
蝶「禰豆子さんの存在は公認となりましたし、君達は怪我も酷かったですしね。
それから……君には私の夢を託したいと思いまして。」
炭「夢?」
炭治郎は笑顔を絶やさないしのぶを不思議そうに見つめた。
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作者名:八重桜 | 作成日時:2019年9月4日 17時