19 ページ19
赤坂を出てから30分くらい経っただろうか。私が住むマンションの前にタクシーが到着する。
私が奥側に座っていたので、健人くんに一度外に出てもらう。
「健人くんさっきも言ったけど、今日はありがとう。風磨くんと勝利くんにもありがとうって伝えておいてね。」
「ちょっと待って。」
健人くんがタクシーの運転手さんに何かを伝えている。
「迷惑でなければ、念のため、部屋の前まで送らせて?」
ら
「え?そんなのいいよ、もうそこだよ?こんな時間だし1分でも早く帰りな?」
「俺、心配性なの。部屋を知られたくないとかだったらやめるけど、そうじゃなかったら俺のためにも送らせて?」
別に部屋を知られたところで、健人くんが何かをやらかすとは思わない。
「うんー…わかった。甘える!お願いします!」
ここで引かないと、健人くんの帰宅がどんどん遅くなりそうでいやだった。
うちは501号室だよーと言いながら、オートロックを解除する。
エレベーターに2人で乗り込み、5階を押すと
「チラッとだけAの部屋見せてくれたりする?」
健人くんがニコニコしてこっちを見てくる。
目の錯覚か…パタパタと振っている尻尾が見える。
「汚いから、本当に嫌です。」
しゅんっと尻尾が下がったのがわかった。
「こんな所まで送ってくれて本当にありがとう…」
「沢山Aといられたから、嬉しかったよ。」
ポンっと頭に手を置かれる。
平常心を保ち、お休みなさいと伝えて家の中に入る。
家に入った瞬間、私は玄関に座り込んだ。
私がさっきまで一緒にいたのは、中島健人なんだとやっぱりどこか信じられなかった。
リスペクトしている中島健人と、手を繋ぎ、抱きしめられて、キスまでしてしまった。
そして、彼から放たれる言葉はすべてが甘かったが、甘いだけでなく、毒でもあるかのように感じた。
そうだ、きっと毒があるんだ。
だから、今でもこんなに心臓がドキドキしてるんだ。
毒が抜けるように、早くお風呂に入って早く寝よう。
今日が金曜日で良かった。
明日は毒が抜けるまで、存分に寝ようと誓った。
165人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こうこ | 作成日時:2019年12月26日 23時