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Story7 ページ7

「ごめんな、俺が生きてるせいで」





さとみくんが言ったこと。

俺には、理解ができなかった。



「……え、?」



「俺、なんとなくわかるんだよ。

俺のドナー……Aなんだろ」



思わず崩れ落ちそうになる。

どうして知ってるの……?
俺、何も言ってないよ?



「カルテのメモが見えたんだよ。
……俺のドナーが、家族以外で見つかる可能性はほんとに低いって。

そしたら、ほとんどぴったりのドナーが見つかったっていうから。
母さんは手術の後に会ってるけど……Aには会ってない」



菜乃葉さんは、自分の息子の頭の良さがこれほどだとは思ってなかったんだろう。

さとみくんが自力で気づく可能性だってあったのに。
まさに今、そうなってるのに。



俺は否定するべきなの?
けど今そうしたとして、後にこの真実を知ったら。

さとみくんはもっと傷つくんじゃないか……?



「なんだ…… さとみくん、分かってたんだ」



震える手をぎゅっと握りこむ。

もう、引き下がれない。



「そうだよ。
Aは、わざと車に轢かれたの。
さとみくんに心臓をあげるために、死んだんだよっ……!」



目の奥の熱を必死で抑える。



今、俺が泣いちゃいけない。

泣く権利があるのは。



「……っ、やっぱりっ、そっか、ぁ……

ぁぁぁぁっ……
ごめっ、ごめ、Aっ……… ごめんなぁっ……」










神様。

こんなの、あんまりじゃないか。

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ゆう(プロフ) - ずんだ属性の餅さん» こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございます。相反するふたつの感情と悲しさが上手く表現できていたら嬉しいです。 (2022年5月29日 11時) (レス) id: 64f761a622 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ属性の餅(プロフ) - 複雑に絡み合う感情、混ざって濁って黒く…その中に差す光のような、淡い優しさに胸を打たれる素敵な作品でした…!思わず涙がほろりほろり溢れてまいりました。素敵な作品をありがとうございましたm(*_ _)m (2022年5月29日 11時) (レス) id: 2a0d204488 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 泡糖さん» Snowflakeも読んで下さってたんですね……! そう言って頂けて本当に嬉しいです、ありがとうございます! (2022年5月24日 23時) (レス) id: 66f029ffe3 (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - いちこめ!このお話を読んだ時に「Snowflake」を思い出しました。悲しいお話も上手に書けるのがすごいです! (2022年5月24日 22時) (レス) @page10 id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう | 作成日時:2022年5月24日 0時

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