100万回生きた俺。【ヒロアカ】 (ページ15)

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ヴィランに対するヒーローの存在ページ15

一晩寝たら、頭がすっきりした。

朝の太陽の光が部屋の窓から差し込んだ。

状況を確認して、部屋を見渡す。100万回目の人生の2日目。おはよう、クソッタレ。

昨夜は4：00まで勉強した。が、やっぱり懐かしさしか感じない教科書だった。

さっさと制服を着る。

眠い目を擦りながら、顔を洗う。

バシャバシャと流れる水で洗って、鏡を見る。

ちゃんと俺がいた。まだ100万回目の人生は終わっていないようだ。

ちゃんと、いるはずなのに…何故かぼやけて見える。

『…ぼやけてる…？なんで…？』

顔を拭いて、部屋の周りを見渡す。

視界に写ったものは全て、ボンヤリとぼやけて二重になっている。

こんな経験は初めてだ。100万回目の人生で、初めての現象。

この100万回目の人生は、やっぱり今までのとは違うようだ。

今までのように、簡単にはいかないというわけか…。

ぼやけた視界で階段を降りてリビングに向かった。

ずるっ

『えっ！？』

どんっ

母「っ！？A！！ねぇっ、ちょっと、大丈夫なの！？」

体中に強い衝撃が走った後、反転してぼやけた世界が視界を占めた。

そして、涙目で心配する母の顔もぼんやり見えた。

『…っ…痛い……けど、大丈夫だ
おはよう、母さん』

母「…はぁ…よかったわ…
寝ぼけてたのね…気をつけなさいよ」

俺は立ち上がって、怪我がなかったことに安堵する。

ここで個性発動したら、最悪だ。

『ん。あの、さ……』

まだぼやけたままの視界を、どうにかしたくて母に尋ねた。

『俺、目悪かったっけ？』

母「悪いわよ。遠視でしょう？忘れたの？
昨日はコンタクトして見えていたはずよ」

母は呆れながら、本当に大丈夫と俺を心配した。

昨日、俺はコンタクトをしていなかった…はずだ。

遅れて感覚がやってきた、ということだろうか

こうして、だんだん100万回目の人生を生きる普通の人間になっていくのだろうか

無意識に「逢坂A」に染まっていくのだろうか

俺が経験した胸くそ悪い99万回の人生を背負ったまま、100万回目の人生では俺自体が変えられていくのだろうか

『…あ、あぁ…そうだった…。
コンタクトきれてて、メガネ探してたんだ。
どこにあるか、知っている？』

気づかないうちに、「逢坂A」の器に馴染んでいく。

怖くなって、声が少し震えた。

母「確か…そこの引き出しにあるはずよ
はい、朝ご飯」

引き出しの上から2段目。

真っ赤な縁の大きなレンズのメガネをかけた。