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62.雪華零 ページ18

彼らは、走った。多くの人達が逃げれるように… 森を抜ける寸前、トウマが足を止めた。

ト「…」

(名前)「トウマ?」

ト「先に行ってて。」

ア「な、何言ってんだ!」

ナ「急にどうしたのよ。トウマ!」

(名前)「待って!トウマ!」

トウマは、仲間の言葉が聞こえていないかのように林の方へ消えてしまった。仲間はそれを追いかけようとしたが、エンマに止められた。

エンマ「待て。トウマにも何か考えがあるのかもしれない。」

(名前)「でも…」

エンマ「仲間を信じないのか?」

(名前)「!? 分かりました。皆、先に行こう。」

ナ「… うん。」

ア「分かった。」

そう決断すると、また彼らは走った。不安を抱きながら…






(名前)「待って!トウマ!」

─あぁ、うるさいな。

トウマの頭によぎっていたのは、信じられていなかった裏切られた記憶だった。その記憶は、自分が妖怪だった頃の記憶。つまり、トウマの前世。

─きっと、今の僕の気持ちを分かってくれる人はどこにもいない。それに、剣武魔神の力が使えない僕は足手まといになる。

トウマは今、剣武魔神の力を使えなかった。理由は簡単。エンマのあの一言で、自分が剣武魔神の力を使っていいのか分からなくなったのと、迷いがトウマの判断を鈍らせていたからだった。

─誰か… 僕は… もう… そういえば、前もこんなだったな。僕は、役立たずだ。空天をあんな姿で苦しませ続けたのは僕なのに… 僕は今でものうのうと生きてる。そんな自分が許せない。でも、ここでけりをつけないと。

そう思った瞬間だった。妖聖剣の収まっているホルダーが青く鈍い光を纏って、一本の刀の形になった。その刀からかは分からないが、前世での自分の全ての記憶が蘇った。ずっと水の奥底に沈めていた記憶が水面に昇ってきた。

エンマ『偽るな。自らを殺すな。』

─あぁ、そうだったんだ。もう、偽り続けなくていいんだ。もう、自分を殺さなくていいんだ。

トウマは、自分の腰に下がっている刀を握り直した。刀は、ひんやりと冷たかった。その刀の名は、雪華零。鬼族と人間の血が混じっている者が使っていた刀。そして、幻王の使っていた刀だった。

ト「今までありがとう。ごめんね。最後まで戦おう。そして、一緒に逝こう?」

少年の言葉に偽りはない。自分がこの戦いで死んでもいいと思っているのだから。玄冬が大切にした刀。幻王が最後まで大切にした刀。

─たとえ、この戦いで死んだとしても、悔いはない。

63.背中合わせ→←61.罪悪感



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設定タグ:妖怪ウォッチ , シャドウサイド , 月浪トウマ   
作品ジャンル:アニメ
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名無しのダレカ - 更新頑張ってください!待ってます!面白いです! (2020年4月8日 21時) (レス) id: 6bf8819783 (このIDを非表示/違反報告)
11冬華03(プロフ) - 「幻王」の回のトウマ君がかっこよくて好きです!お忙しいと思いますが、頑張ってください!更新待ってます! (2019年9月1日 8時) (レス) id: 409538cbca (このIDを非表示/違反報告)
黒崎茉莉那(プロフ) - 続きが気になります! (2019年6月24日 17時) (レス) id: e34fd562e8 (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - 続きが気になるわ! (2019年4月21日 19時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - 今、46いったわ。いろんなことが明らかにされる予感ね。 (2019年4月21日 19時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月影冬華 | 作成日時:2019年3月28日 13時

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