死者の世界へようこそ！ (ページ5)

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4.緒詰安広についてページ5

二人は自分の名前を名乗った。香波雫華は少年の名字を聞いて少しばかりだが驚いた。いや、驚いたというより、聞き覚えのある名字だったから驚いた、という言い方の方がいいかもしれない。香波雫華は少年に質問をした。現世ではどんな生活をしていたのか、そして戻りたい理由を聞いた。少年はあっさりと答えた。

「現世？あぁ、生きてる人達が住んでる場所の名前ですね。どんな生活？ん～。学校では虐められて、家では人みたいな生活は出来なかったです。というか、させてもらえませんでした。」

「どうして戻りたいんですか？」

「どうして戻りたいか？あぁ、あれですよね。学校では虐められてて、家では人の生活が出来なかったのに何で戻りたいのかって事ですか？単純な話です。まだ、復讐出来てないからです。」

「？」

香波雫華は、少年の言動がますます分からなくなった。

「復讐って言っても、殺すとかじゃないですよ。」

「それなら、どうやって復讐するんです？」

「社会的罰を与えるんです。殺したら苦しみなんて一瞬でしょ？だから、俺が受けてきた苦しみを倍返ししてあいつらに返すんです。あいつらの人生をぶっ壊す為に。それに、あんな奴らの汚い手で死にたくないので。」

少年とは思えない考えだった。その時の少年は大人でも後ずさりしてしまう程の圧を香波雫華は感じていた。だが少年はその圧をすぐに隠し、いつもの少年に戻っていた。香波雫華は質問を続けた。

「どうして、学校で虐められたんですか？」

「ほら、俺の目って左右で色が違いますよね？オッドアイって言うと思うんですけど、たぶんこれが一番の原因ですかね？虐めで一番酷かったのが、目をスプーンでくり貫けって言われたときですかね？でも先生が近くに来ていたのでくり貫かずには済みましたけど。先生も存在だけはありますからね。助かりました。」

少年は平然とその話を笑顔でする。この少年は、何かのネジが外れてしまっているんだと分かるどこか壊れた笑みで少年は語っていた。そばにいた若い女性は、それを痛々しいと思った。