【派生作品】この恋を抱き締める (ページ4)

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ごめんなさい(恭曜side) ページ4

昨日の事が気になってしまって、ついあの少年を探してしまっていた。

わらわはひどい。助けてくれたのに、あんな事を･･･。

謝らねば、と思いつつも許されぬのは分かっておって･･･。

「あれ？この前のフクロウの子？」

なっ、助けてくれた少年！

あわわ、えっと、まず謝らねばなのじゃ！えっと･･･。

「申し訳なかった」？感情がこもっておらんのじゃ！

「すまない事をした」？何か、違うのじゃ！

えっと、えっと～･･･。

「あぁ、この前の事謝ろうとしてるの？良いよ、全然。君の言う通りだし･･･。」

「そんな事はない！」

あなや、つい大声が出てしまった･･･。恥ずかしい限りじゃ～！

「えっと、わらわはいつも、人にきつく当たってしまって･･･。その、そなたは何も悪くない！

むしろ、嬉しかったのじゃ･･･。」

いつもからかわれても誰も助けてくれず、素通りして行く人が多かった。

こやつに助けられて、嬉しかったのに天の邪鬼になった。

はぁ、言葉が下手過ぎではないか。伝わる物も伝わらん･･･。

「そっか･･･。なら良かった。」

少年はくしゃっと笑った。伝わった、のか･･･。

そうこうしていると、始業のチャイムが鳴った。いかん、教室に戻らねば。

「あ、そうだ。最後に名前、教えて欲しいな。俺は緑川太陽。」

「雲井恭曜、じゃ。太陽、覚えておくぞ。」

そう言ってから踵を返した。

緑川太陽。良い名前なのじゃ。わらわを助けてくれた、素敵な少年。

わらわは、もう一人ではない。そんな気がした。