卒業式のお話し ページ8
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これは雄英高校卒業式の日のお話し。
私は実感の湧かない卒業、みんなと離れる寂しさ、好きな人に結局何も言えなかった不甲斐なさでなんとなくぼんやりとしていたと思う。
涙を流す訳ではなかったけれど、謎の虚無感みたいなものに襲われていたのだ。
みんなが解散した教室に残り、なんとなくそこを眺めていた。
「…A？」
『…轟くん』
轟くんは驚いた顔でそこに立っていた。
ふわりと吹く春の風は少し冷たくて、ぶるりと震えた。
「まだ行かねぇのか、みんなで飯行くんだろ」
『うん、轟くんこそ何してたの？』
「…呼び出し」
『あぁ、そうだよね』
言わずもがな、彼はモテた。ヒーローになる為にひたすらだった彼が彼女を作ることはなかったけれど、私はいつも嫉妬心を抱いていたと思う。
同じクラス。仲のいい友人。それだけが私の嫉妬心を宥めていた。
轟くんは、私の前の席に腰を下ろした。
『相変わらず断ったの？』
「知らねぇやつだぞ」
『へぇ、勇気があるね、その子』
「…すげぇよな、好きなやつに好きって言えるの。それだけの事なのに、すげぇと思う」
『なんで、君がそんなこと言うのさ』
「俺だって好きなやつくらいいる」
『え？聞いてない、ひどーいなんでも話してくれてると思ってたのに』
「Aだって教えてくんなかったろ」
事実上、ここで失恋したのだと思った。案外あっさりと受け入れられたのは、卒業式の日だったからかもしれない。
ムッとしてこちらを睨みつける轟くん。そんな顔、誰にも見せないで欲しい。これからも、私に向けて欲しい。そんな独占欲に駆られた。
この恋を、手放したくはなかった。
「伝えねぇのか、もう会えねぇんじゃ」
『会えるよ、彼もヒーローになるから』
「ヒーロー科か？ますますわかんねぇ」
『私この恋を終わらす気はないの。いつか忘れてしまうまで、ずっと温めておく』
「伝えろよ、そんなんじゃAが浮かばれねぇ」
『とりあえずは、ね、いつか温めすぎて破裂しそうな想いを思いっきりぶつけてやるんだ』
「ふ、Aらしいかもな」
『うん、私なりにやる。轟くんこそ伝えなくていいの？』
「俺は…まだどうすりゃいいかわかんねぇ」
『そっか、轟くんなりにやればいいんだよ』
「…だな」
彼の好きな人はきっと素敵な人なのだろう。その優しい笑顔は彼女に向けたものなのだろう。ぐるぐると渦巻く嫉妬心を隠すために、私は彼から目を逸らした。
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お茶ん(プロフ) - ねぇ瀬呂のファーストキス、ファミチキはやべぇってw (2022年3月2日 0時) (
レス) @page16 id: f8c5dcff4c (このIDを非表示/違反報告)
えも(プロフ) - 未那さん» 未那さん！！！また始まりますので！！！いつもありがとうございますほんと！！！映画みれますように！！！新しい入場特典の轟くんとてもいいです！！！とてもとてもとてもいいです！！！次回作もがんばります！ (2021年8月23日 21時) (レス) id: 32dcf2c040 (このIDを非表示/違反報告)
未那(プロフ) - くっそ、終わっちまったぜ、、、、、、最高っした！！短編集もちゃんと読んでます！！これからも頑張ってください！！一生ついていきます！映画は見れてないです！見たいです！(TMI) (2021年8月23日 1時) (レス) id: abf4bd5443 (このIDを非表示/違反報告)
えも(プロフ) - リュイさん» めちゃくちゃ嬉しいお言葉です…！！みんなで轟くんを愛しましょう(;_;) かっこいい轟くんたくさんかけるようがんばりますね！！！がんばりますコメントありがとうございます！！！ (2021年8月6日 0時) (レス) id: 32dcf2c040 (このIDを非表示/違反報告)
えも(プロフ) - 美琴さん» 嬉しい……読んでくださって私も大好きです！！ここから楽しい生活送って貰うので楽しんでください！！映画とうとう今日ですね…！2回もチケットとっちゃいました… ぜひとも一緒に轟くんを推しましょう…！！がんばります！！ (2021年8月6日 0時) (レス) id: 32dcf2c040 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えも | 作成日時：2021年7月20日 23時
