#延命失敗でさようなら【myzm】【kgm】 (ページ27)

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xx＿20 ページ27

その日は、前日の土砂降りが嘘みたいに雲ひとつないきれいな空だった。

洗濯日和だな、と思ったけれど洗濯物を干しはしなかった。

大きく伸びをして、物がほとんどなくなった部屋をぐるっと見回す。

断捨離は結構大変だったな。

思い入れのある物とか、人からのプレゼントとかを仕分けているとどうしても作業の手が止まってしまうから。

大切な物は段ボール箱にしまっておいたけど、このあとどう扱われるかは分からない。

あのあとから、まゆとは一切連絡を取っていない。

最後に何か話そうかと思ったけれど、まゆの重荷になってしまう気がしてやめた。

これ以上、まゆに負担をかけたくないから。

まゆは優しいから、わたしの言葉で思い悩ませたくない。

加賀美さんには、マネージャー経由でお菓子を送っておいた。

今までものすごくお世話になったから、そのお礼。

最後にもう一回会いたかったけど、もし会ったら、加賀美さんはわたしがこれからすることを止めるかもしれないから会えないかな。

事務所には何の連絡もしていない。

最後の最後に迷惑をかけることになるのは本当に申し訳ないけど、かといって先に連絡しておくわけにもいかないから。

「んー、結構時間かも………」

時計を見ると既に11時を過ぎていて、ここから中学校に行くまでにかかる時間を考えたら、そろそろ家を出なければいけない。

部屋を出るのは少しだけ名残惜しいな………。

でも、綺麗に片付いている部屋を見ると清々しいかも。

玄関の鍵はかけなかった。

すぐ開いたほうが、次にここに来る人も助かるだろうし。

わたしは、部屋の鍵とどこにでもあるような茶封筒をポスト入れて、マンションを出た。