きみは世界の中心2【佐野玲於】 (ページ18)

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○68 わざとページ18

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電話越しのAの声はいつもと違って聞こえて

そんな声も愛おしくて、たまんなくて

緊張してんの？なんて聞くと、

してないといいつつ、してると言う。

意味わかんないけど、またそれも可愛いなんて思ってしまう俺。

久しぶりのAの声にニヤける口元を抑えつつ平然を装うふりして

何してんのかと聞くと、家までの帰り道らしい。

家着くまで話そなんて、ただ俺が電話したい口実ってだけなのにそう言うと嬉しそうに

『うん！』

なんて返事が返ってきた

それに、こんな可愛いやつが1人で歩いてたら
誰に何されるかたまったもんじゃねえし。

もしなんかあっても俺はすぐに行けるわけじゃない。

そう思うと胸が締め付けられた気がした。

俺だったらいいのに。

一番に頼る奴が、俺ならいいのに。

なんて願ったのは心に閉じ込めた。

Aがもう家に着くと知った時

俺は話を終わらせたくない一心で

わざと知らないふりをして、

わざと話を続けた。

ガキ臭いけど、今の俺にはそれが精一杯だった。

玲「最近何してんの？」

『最近かあー、テスト終わったからバイトして、課題して、友達と遊んでの繰り返しだよ』

本当は、男？なんて聞いてやりたかった。

けど、その答えがイエスなら俺の気持ちは持ちそうに無いし...。

その話をわざと逸らして、自分の話に切り替えた。

Aは本当にgenerationsの俺のことを知らないらしく

メンバーの話をすると、全て興味津々に聞いてきた。

『玲於くんは、メンバーさんたちのことが大好きなんだね』

ふふっなんて小さく笑うA。

　

『玲於くんメンバーさんの話する時、楽しそう』

玲「なんか嫌なんだけど」

メンバーのこと好きとかキモいしなんて呟けば

『えー、素敵なのに』

と返事が返ってきた

くすくす笑う声が電話越しに聞こえて、

Aが笑ってる姿を想像すると

まあそれも悪くねえのかななんて思ったりもした。

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