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『亮二兄さん……大丈夫かな?』
私は亮二兄さんが心配で廊下をジッと見つめる
「むぅ…鬼に大切な人達を鬼に奪われたお前達にさっきの話は軽率だった!すまない」
頭り下げる師範に私は慌てて顔を上げるように諭す
『平気ですって!確かに鬼は憎いですけど、もし……もし本当に共存できるのだとしたらいいんじゃないですか?』
本当に私は共存できたらいいなんて思っているのだろうか…自分のことなのにまるで他人事のように思いながら師範が柱会議に行った日はさつまいもの味噌汁にしますか?と問う
「わしょい!わしょい!頼むぞ!」
師範は今にも踊りそうな勢いでそう言うとにこやかに廊下を歩いて行った
『わかりやすいなぁ…』
少し呆れて見ていると今日の分の走り込みが終わっていないと日輪刀だけを持って身軽な状態で山へと出掛けた
少し進むと奥から何やら叫び声が聞こえた
その声は怒り、苦しみ、悲しみと様々な感情が込もっていてドンドンと振動が伝わることから木を殴っているのだと予想がついた
さらに進めば進むほど泣きたくなるような匂いがして私は無意識に息を潜めてその人物を窺っていた
「クソッ……何でだよ、何で…兄さん達を殺した奴等の仲間を庇うんだよ。俺だって…俺だって本当は刀何か振りたくねぇ、鬼の頚何か斬りたくねぇよ……本当ならあの家で父さんの看病しながら慎ましくも幸せな日々になるはずだったのに………もう少しすれば兄さんだって祝元を上げるはずだったのに、そもそも何で俺が生き残ったんだ?俺はあん時すぐ気絶して何もできなかったのに………可笑しいだろ……ふざけんな!」
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作者名:イカ星人 | 作成日時:2020年1月19日 19時