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帰り道、私は上機嫌で歩いていた
いつも贔屓している薬屋のおばちゃんが薬をおまけで1週間分もくれたし、正一兄さんの交渉術のお陰で私が売るよりずっと高く毛皮が売れたのだ
それにしても……隣を歩く正一兄さんの横顔を見て少し鳥肌が立った
この鳥肌の理由をさっきの交渉を見ていた者なら共感してくれるだろう……
始終にこやかだけど、どこか怖い笑みを浮かべたまま話しを進めてく正一兄さんには相手側もたどたどしてそのまま高値で売ってしまった
「A、少し寄り道しないかい?」
正一兄さんが指差した先は甘味処だった
私はうーん…と頭を悩ませた。実を言うと甘い物は好きではない。むしろ苦手だ
それに、甘味処へ行くと何故だか視線が集まってしまうのだ。
まぁ、正一兄さんは美青年…と言うかうちは皆顔が整っていてあの、暴れん坊と言うに相応しい亮二兄さんにすら想いを寄せている人は居るらしく亮二兄さんへの熱い視線を感じる
つまり、甘味処へ行くと視線が気になって落ち着かないし食べる物も無く私はお茶を飲むくらいなのだ
『いや、正一兄さん。遅くなったら皆に心配かけるし帰ろ?』
「そうか…確かにAの言う通りだね。夜は危ないから出歩くなって母さんにも言われてるし……帰ろうか」
『うん』
私は正一兄さんと薬と薬草を持って家に帰った
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作者名:イカ星人 | 作成日時:2020年1月3日 20時