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『ん……ここ……』
目が覚めると見覚えが無い天井が見えて、ここはどこかと寝起きであまり動かない頭をやっとのことで動かすと一気に吐き気がした
そうだ、お父さん…圭四愛子…あいつに殺されたんだ……
『うっ……』
口に手を当てて起き上がろうとすると全身に思いっきり鞭で打たれたような痛みが走る
『……ぁ、ゴホッケホッ』
咳をするのも体に響いて辛い
「あっ!起きました!?」
暫く体を動かさないようにしていると布を沢山入れた篭を持った女の子が私を見て大声を上げた
頭に響くからやめてほしい…
「そうだ、しのぶ様!しのぶ様を呼んできます」
『あの……行っちゃった…』
あの後、私が気を失ってからどうなったのか知りたいし助けてくれた人にお礼も言いたい、聞きたいことだらけだ
暫くするとさっきの子の足音ともう1つ微かな足音が聞こえてきた。あの子が言っていたしのぶ様だろうか
「初めまして、私は胡蝶しのぶと申します。体の調子はどうですか?」
にこやかと笑った¨胡蝶しのぶ¨と名乗った女性は少し大きめの蝶の羽を模した雅な柄の羽織を着て、綺麗で優しそうだったが、その笑みにどこか違和感を感じた
けれど、何も言わないのは失礼だと思い痛い体で必死に頭だけを下げた
『助けて頂きありがとうございました。本当なら土下座するのが当然ですが今は体を激痛が襲っていて頭しか下げられなくて申し訳ございません』
「いえ、大丈夫ですよ。やはり全体に激痛ですか……」
『鞭でずっと叩かれているような痛みです…』
頭を下げたまま喋ると脇腹がズキンと痛み歯を噛み締めた
「そうですか、今痛みを和らげる薬を持ってきますね、アオイ。それと頭を上げて下さいその状態では辛いでしょう」
「はい!かしこまりました」
あの子はアオイと言うのか…そんなどうでもいいことを考えながら頭をゆっくり上げた
胡蝶しのぶさんの青みがかかったバイオレットの瞳とバッチリ目が合って不意にお母さんのような包容力を感じた
『あのっ、私の……私の兄弟はどうなったか知りませんか?』
正一兄さんとお母さん、善三に亮二兄さんは……?
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作者名:イカ星人 | 作成日時:2020年1月3日 20時