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「村の様子を？」
殿下の声に、僅かに驚愕が混じる。
『ですが……今回は、見送ろうかと考えていたところでございます』
「ん、何故？」
『……。その』
「うん？」
――うーんこいつ。
なんて、絶対に口には出せない文句を吐いてみる。
やけに突っ込んで聞いてくるじゃなーい？ こういうときはさっさと見逃すんだよぉ。
『その……私はひどく、疲れて見えるようでして。村の方々が心配そうにしているのが分かったものですから』
「……へぇ」
殿下が辺りを見渡すのが、頭の先で分かった。
曖昧に曖昧に濁して言い訳したのは、彼の後ろ、私たちの会話を見守るように、"彼ら"がいたからだ。
グルッペン・フューラー(だっけ？)と、あと何か、さっき一緒にいた男の人二人。
彼らの前でまさか、「村の人たちがこっちを不躾にじろじろ見てぇー」とか言えるはずもない。言うつもりもない。
私の返答がお気に召したのかどうか、殿下はグルッペンさんを振り返った。
「彼女を同行させても構わないかな？」
『……！？』
「えぇまぁ、こちらは構いませんが」
『……(うそでしょ)』
――頼んでないんですけど！
驚いて、思わず面を上げてしまったときに見えた、殿下の爽やかな笑顔と、グルッペンさんの薄ら笑い。
それが何だかひどく対照的で――って、そんな現実逃避してる場合じゃなくて。
「今から、村を案内してもらうつもりなんだ。君も付いてくるといい」
『……』
どうするのが正解だ？
本音を言えば、今すぐ踵を返して帰りたいというのが正直なところだ。
しかし、殿下からの直々のお誘いを無碍にするのもまた、不敬に当たる。彼は多分、この村に興味を示した私に、親切心で言ってくれているのだ。
……というのを一瞬のうちに悩み上げて、私は小さく息を吸った。
『お気遣い感謝いたします。是非、ご一緒させていただきます』
「うん」
殿下は、満足そうに頷いた。
どうか今のやり取りで顔を覚えられませんように。そう陳腐に祈りながら、私はしれっと最後尾に付く。
そうして始まったのが、なんとも緊張感ある"辺境の村ツアー"であった。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
