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『《ごめん、私もさ、よくは覚えてないんだけど……あのとき、一緒に居たんだっけ？》』
「……グオン」
『《そ、っかぁー……。二人していっぺんに死んじゃうなんて、とんだ親不孝もんだよ私たち》』
自嘲の意味も込めて、笑ってみせる。竜王は一緒になって笑うことはなかったけれど、そうだな、と首肯してくれている気がした。
『《ねぇ、竜になるってどんな感じなの？ 聞いて、私はさ、これでも貴族のお嬢様》』
「……グフ」
『《おい馬鹿にすんな？ あんただって、しばらく見ないうちに竜王なんて大層なもんになっちゃってさぁ》』
「……」
『……《なに、なんかご不満？》』
じとりと胡乱げな視線を送られ、肩を竦める。
その不満の中身は私には想像できない。だって、竜王からの言葉を完全に理解することは叶わないから。
『(これじゃあ、竜王の意思なんて分かりっこないよ……)』
一方通行の会話には、限度があるってものだ。
はいか、いいえか。言ってみれば、竜王側からは大きく分けてこの二つしかない。それがひどく、じれったかった。
『《あぁ、もう。ちょっとあんた、日本語話せないの？ 何かこう、私の脳内に直接語りかけてくるとか！ ただし私の思考は読むな》』
ついには投げやりにも無茶ぶりを要求する私に、竜王は再び冷めた視線を寄越してきた。
あっそれは読めるぞ、何言ってんだこいつ――ってやかましいわ！
『《でもさ、よくあるじゃん。人間の姿になれるドラゴンとか意外と王道でしょ。そういうのは？》』
――まぁ無理なんだろうけど。
言ってみるだけタダだ。駄目元で吐き捨てて、コツコツとつついてくる子供の竜の頭を撫でてやる。
こうしてみると、でかい犬みたいだな。
なんて呑気に考えていた私は、グオン、と少し高い位置で聞こえた啼き声に顔を上げた。
『――え』
そして、思わず目を見開く。
一声啼いた竜王は、黒曜石を瞼の裏に隠したまま固まったかと思うと、みるみるうちにしゅるしゅると縮んでしまわれたのだ。
え、え、と困惑している間に、私とほぼ同じ目線になった彼は、竜の姿ではなく。
「……。《出来たわ》」
『っ、ええぇ！？』
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
