11#朝の光景 ページ40
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目を開けると、窓から陽が差しているのが見えた。
ようやく朝か、とややすっきりしないままの身体を起こす。
慣れない環境に少なからず滅入っていたのか、疲れ果てていた一昨日の夜とは違い、夜中に何度も目が覚めてしまった。
まだ夢の中にいるリーンちゃんを起こさないように、そうっと布団から抜け出す。
居間のほうから僅かに、物音と話し声が聞こえて、私はそちらに向けて足を速めた。
案の定そこにいた二人は、起きてきた私に微笑んで何事かを言う。
おはようの挨拶だと解釈して、そのままそっくり返してみると、嬉しそうな笑顔が返ってきた。
『(……あぁ、もっと早く起きればよかった)』
どうやら朝食の用意はもう八割方済んでいるようで。
二人の邪魔にならないように手元を覗き込んで、人知れず頭を抱える。
ジェイスさんは野菜を煮込んだスープの鍋をゆっくりと掻きまわし、ソフィーさんは使った食器を洗おうとしているところだった。
『(洗い物なら……！)』
すかさずソフィーさんの隣に回り込み、その肩をつんとつつく。振り返って尚も柔和に微笑む彼女は、食器と自身とを指差す私を見て、きょとんと瞬いた。
やがて意図を汲み取った彼女はしかし、ゆるゆると首を振って断りの意を見せた。
『(……んー、致し方なし)』
それ以上食い下がることはせず、素直に引く。
おそらく彼女らにとって、私は王都からの重要な客人で、敬うべき存在にあるのだろう。
さて、それをどうやって解してやるべきか。勿論王都の実家には使用人もいるし、私はどちらかというと世話をやかれる側の人間だ。
しかしこの村では、私は貴族令嬢ではなく、対等な関係でありたいと考えていた。
やることリストにまた一つ項目を増やしながら、二人の背後の段差に腰かける。
ジェイスさんとソフィーさんは終始穏やかな様子で言葉を交わしながら、朝の用意を進めていた。
私はといえば、耳に入る二人の言葉を片っ端から復唱していた。
だって、何を話しているのか分からないし、教科書だってない。それなら今から出来ることといえば、まず発音自体に慣れることだ。
ぶつぶつと口の中に含ませるように独り言ち続ける私は、それは奇っ怪にも映っただろう。
やがて奇行に気付いた二人は、こちらを振り返ってからお互いに顔を見合わせた。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
