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『……』
――どう、答えればいい？
出来ない、と答えたら？ 竜王自らが縄張りに引き入れたこの状況を、どう説明すればいい？
出来る、と答えたら？ 竜王は人間とは決して馴れ合わないはずの孤高の存在で、それと心通わせる人間がいたとしたら？
この国は、世界は、どうなる、どう動く？
『(そんなの、教えてもらってない)』
今、自分が立っているこの場所が、どんな影響を与えるのか。
『わ、たしは――』
どうしても、何も言い出せなかった。
誰もが私の発言を待っているというのに、何も。
『……！』
とそこで、こつん、と背中を小突かれる。振り向けば、にい、と細められた黒曜石があった。
てめえ、元はといえばあんたのせいだからな……。
「……竜王が、人間に触れるとは」
発言したのは、グルッペンさんだった。
「我々でさえ、これ以上近付くと警戒される。それを、あの女性は――」
彼の目は鋭く光っているように見えた。意外と優しそうな人だという印象は、もしかすると間違っていたかもしれない。
今のグルッペンさんは、何を考えているのか全く分からなくて。
何というか、後ろにいる竜王よりもよっぽど、得体の知れない人のように思えた。
「殿下、この場は一度退いて、今後のことはよくよく話し合うことにいたしませんか」
「……。あぁ、それがいいな」
一つ頷いた殿下は、後ろで固まったままの大勢を振り返って宣言する。
「儀はこれにて終了とする！ 皆、この場で見たことは、無暗に言いふらさぬように。各々部屋に戻った後は、招集があるまで待機せよ」
彼らの返事を待たずに、殿下は私へと視線を戻した。
「君は――そうだな、一時間ほど後に、講堂へ来て欲しい」
『は……はい、かしこまりました』
「それまではどうする？ ここに居るか――いや、一人にするのはまずいか？」
「それでは、こちらから二人ほど付き添いを出しましょう。トントン、オスマン」
グルッペンさんに指名されたのは、昨日も一緒にツアーをした二人だった。言葉を交わすことはなかった二人だが、全くの見ず知らずの人間よりはマシだ。
え、っていうかそもそも、私ここに取り残される前提？
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
