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初めに動いたのはやはり、殿下の護衛騎士だった。彼は当たり前のように殿下の隣に陣取り、膝を立てる。
騎士として直属の上司にあたる男のそれを見て、次には若い騎士たちが動いた。
しかし、やはりまごついたのは令嬢たちだ。
彼女らを悪く言うことは出来ないだろう。私にだってその気持ちが十分なくらいに分かるのだから。
清く美しく、どんなときも上品で淑やかであるように手塩にかけて育てられた(はずの)令嬢たちは、まさか地べたに座り込んで食事をする日が来ようとは予想だにしなかった。
『(私だって、思ってなかったよ)』
どうする、と互いに様子を窺い合う彼女らに挟まれて、私はつ、と殿下を見やった。
目は合わなかったけれども、彼はこちらを見て苦笑を零している。
『(はぁ……これで顔覚えられちゃったらどうしよ)』
――ま、仕方ないかなぁ。
私は、令嬢たちの輪からするりと抜け出した。
Aさん、と小さく名を呼ばれたような気がしたが、それに構わずテーブルへと歩み寄る。
先に着いていた騎士と一つの間を空けて、なるだけ入り口から遠い席を選び、そこへすとんと腰を下ろした。
私がとったのは正座だった。
グルッペンさんの意思には反していたかもしれないが、おそらくこの場での正解はこれだ。
ひしひしと、令嬢たちではないほうから視線を感じる。
私はそれを無理矢理にでも断ち切って、いまだ佇む彼女らに向けて微笑んでみせるのだ。
大丈夫よ、だから早く。これだと私が目立ったまんまでしょうが。
その必死の訴えが伝わったか否か、彼女らはぽつりぽつりと動き出した。空いた席へ一人ずつ腰を下ろし、縮こまるように正座する。
やがて全員が席に着いたとき、誰からともなくほっと安堵の息が零れたのは気のせいではなかっただろう。
「では、早速頂こうか」
殿下が満足げに頷いて、グルッペンさんを見やる。
グルッペンさんが奥の部屋へ向けて合図をすると、そこから女性が何人か出てきた。民族衣装を纏った彼女らは、真ん中の大皿から料理を取り分けて、私たちの前に並べていく。
肉や野菜をふんだんに使った料理は、目の前にすると一層鼻をくすぐる匂いを届けてくる。
美味しそう。素直にそう思った。
――と、空いていた右の席に、誰かが座った。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
