1#転生 ページ2
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前世であっけなく命を落とし、私はなんと異世界転生というものを成し遂げた。
誰かにそう言われた訳ではないが、きっとそう。だってここ、前世の記憶とは全く違う世界だもの。
自我が芽生えた――というより返り咲いたのは、生まれてから一週間後。
気付けば上手いことコントロール出来やしないちびちびな身体になっていて、パニックで泣き喚いたのは良い思い出だ。
それでも脳みそは前世のままだったばかりに、私はそれはもう考えて、考えて。
考えた結果一回諦めかけたのち、辿り着いた結論は"転生"。ここが一週と数日歳。
そんでもって、なんか日本――ってか地球じゃなくね？ "異世界転生"？ ここがさらに二週歳。
挙句の果てに、(私からすれば)異界語にようやっと馴染んだ末に気付いた、私、下級貴族の娘。
ここがおそらく、一カ月歳。そんな具合だった気がする。
最初の内は困った困った。そりゃあもう。
思考は前世のものなのに、「痛ッ」と思ったら勝手に泣き喚くし、「お腹空いたッ」って思ったら今度は勝手に泣き喚く。
ついには「痒ッ」で勝手に泣き喚くもんだから、小さなもみじお手手で頭を抱えた。
でもまぁそれをひっくるめても、ある程度自制が出来た私は、それはそれは育てやすい赤子で。
「Aさんは、本当に、何でもそつなくこなしますわねぇ……」
――えぇまぁ、こちとら貴女の倍以上は人生経験がありますし。
ほう、と感嘆の息を吐く友人に、曖昧に笑ってみせた。
今しがた洗い終わった花瓶を撫でる。花瓶を洗っただけで褒めてくるこの友人は、ちょっと感覚がズレている。
それなりに美しく――下級といえど貴族の家に生まれたおかげだ――成長した私は、王都にある豪華絢爛な王宮に勤めていた。
いわゆる宮仕え。幼い王女殿下の侍女……の下っ端。
高貴な王族の血を引く殿下のお側に仕える侍女は、当然高位の貴族のご令嬢で。
私のような下位貴族は、いっても雑用係である。
『さ、行きましょう。殿下をお待たせしてしまうわ』
「えぇ」
取ってつけたような言葉遣い？ ノーノー、もう沁みついてます。
これはこれで窮屈な身分かもしれないが、生まれてこの方この身分なら、人生慣れるもんでしょう。
――私、爆誕。から早十数年。
『……。良い天気ねぇ』
私は立派な、貴族の娘である。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
