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焦点の定まらない目に、らしくないほどの動揺。ついに彼は、Aやその場にいた人々を振り切ってホームを走って出ていってしまう。
「な……なんや、どうしたんやあいつ！？」
「Aちゃん、怪我……！」
しんぺい神が駆け寄って来て、Aの傷を覗く。くっきりと歯型に血の跡がつき、それはまさに正気の沙汰ではなかった。
『――"セカンドショック"です』
「え？」
しんぺい神の治療を受けながら、Aは苦笑を洩らした。
やはり彼は凄い。ものの数秒で、この怪我をなかったことにしてしまうのだから。
『ゾムの脇腹の傷……彼は野良犬に噛まれたって言ってましたけど、おそらくアシッドドッグに噛まれたものだったんでしょう』
「あ……」
そこまでの説明を聞いて、ようやくしんぺい神は腑に落ちたようだった。
"セカンドショック"とは、魔物から受けた傷による一種のショック症状である。
例えば蜂に二度噛まれるとアナフィラキシーを起こしやすくなるのと同様で、同じ魔物に二度噛まれると、何らかの異常を引き起こしやすくなるというもの。
特性柄《酸》などと勘違いされやすいが、実のところアシッドドッグの魔性は《狂化》である。
ここまで言えば、あとはもう理解できるだろう。ゾムはセカンドショックにより、否応なく狂暴化させられたのである。
『正気を取り戻してたので、それはもう心配ありません。時間が経てば、症状も消えます。……でも』
Aは、すっかり傷が癒えて、赤い染みだけが残るそこを撫でた。
『誰か、様子を見に行ってあげてください。……彼、泣き虫なんです』
――きっと、私が行っても、今は逆効果だから。
そうやって力なく笑うAに促され、何人かがホームを出ていった。
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江之子(えのこ)(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。自分でもこの設定好きです(笑) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月15日 12時) (
レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ピヨさん» コメントありがとうございます。どちらも楽しんで頂けて私も嬉しいです。是非最後までお付き合いください！ (2020年5月15日 12時) (レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
あんり - ひいぃ...好き...もう少し続くとの事なので楽しみに待ってます！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 4620368618 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。本作品を最初からrbロ編とzム編を全て読んだのですがどちらの物語もとても面白くて、設定も個人的にとても好みで最高でした。完結まで楽しみにしています。 (2020年5月10日 8時) (レス) id: 3ec25a42f9 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 豆腐の中の棒人間さん» コメントありがとうございます。確かに言い回しは沢山考えて練っている部分ですので、褒めて頂けると嬉しいです！実はご作品の「転生者は…」を密かに楽しませてもらってます。お互い頑張りましょう！ (2020年5月6日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
