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両親が眠るのはここらでも比較的大きい墓地で、手入れされた緑が茂り、かなり清潔感のある場所だった。
平面ではなく緩やかな丘に作られていて、Aの両親の墓は階段を上がった先の高いところにある。
『これを上がった先なんだ』
「……おう」
『……。ねぇ、ゾム』
朝からずっと、静かに抑えた返事をする彼に、Aは階段の先を見上げたまま呼びかける。
『不満に思ったこと、全部聞いてくれてもいいよ』
言えば、繋いだ手に少しだけ力がこもった。
『何が嫌だったか、教えて？』
「……。昨日の」
『うん』
僅かに言い淀んでから。ゾムは噛み締めるように話し出した。
「あの男、誰」
『あの人テオドルっていって、"エーデルワイス"のマスター。聞いたことあるでしょ？』
ギルド"エーデルワイス"。"フィリアス"には劣るものの歴の長い中堅ギルドで、老若男女の幅が広いことが特徴だ。
ゾムもやはり名前は知っていたようで、こくりと頷く。
「でもなんで、あんな仲ええの？」
『アリサ達の父親……つまり、私にとってもお義父さんなんだけど、その人が"そこ"出身で。テオドルとも小さい頃から仲良かったの。幼馴染っていうか、アリサ達と歳が同じだから、私にとってはお兄ちゃんみたいな』
「……ふーん」
とここまでは、あまりお気に召さない回答だったらしい。
『昨日は、何だかんだ数年ぶりだったんだ』
「それで、楽しそうにデートしとったん」
『デートって』
彼の言葉には確かにトゲがあるが、Aはそれを笑って受け流す。
『あれね、アリサとハンナへのプレゼント選んでたの。もうすぐ二人、誕生日だから』
でもまぁ、傍から見たらデートにも見えたのかな。とそう笑う彼女の横で、ゾムは、はああ、と重く長い息を吐いた。
Aが首をひねると、ゾムは先程よりかは気分が緩和したのかこちらに目を向ける。
立ち止まった彼につられて、Aもその場に足を止めた。
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江之子(えのこ)(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。自分でもこの設定好きです(笑) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月15日 12時) (
レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ピヨさん» コメントありがとうございます。どちらも楽しんで頂けて私も嬉しいです。是非最後までお付き合いください！ (2020年5月15日 12時) (レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
あんり - ひいぃ...好き...もう少し続くとの事なので楽しみに待ってます！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 4620368618 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。本作品を最初からrbロ編とzム編を全て読んだのですがどちらの物語もとても面白くて、設定も個人的にとても好みで最高でした。完結まで楽しみにしています。 (2020年5月10日 8時) (レス) id: 3ec25a42f9 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 豆腐の中の棒人間さん» コメントありがとうございます。確かに言い回しは沢山考えて練っている部分ですので、褒めて頂けると嬉しいです！実はご作品の「転生者は…」を密かに楽しませてもらってます。お互い頑張りましょう！ (2020年5月6日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
