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最後は、花屋だった。
しかし今までと違ったのは、この店に入りたがったのがAのほうだったことだ。
通り過ぎようとしたテオドルに声をかけて、彼女がその店を指差す。
あぁ、と得心がいったように頷いたテオドルは、穏やかな表情でAに笑いかけていた。
それがどういう感情だったのか、本当にゾムが邪推するようなものなのか、正直なところ分からない。
ただ確かに、Aを思いやっている人間のそれだというのは分かった。
「……」
三人が見守る先で、彼女は一本一本を慎重に、丁寧に選び始めた。
誰に贈るものなのだろう。あんな風に選びとるのは、きっと誰かのためのものだ。
シャオロンやコネシマでさえその答えが気になるのだから、この男にとっては大問題であろう。
「ゾム、あのまま誰かに取られてええんか」
「……。ええ訳、あるかい」
「んなら頑張れ、俺は応援しとるで」
「俺も俺も」
ぽんぽん、労うように肩を叩くと、ゾムは何も言わずに押し黙った。あーあー、重症やなぁ。
やがて花屋から出てきた彼女の手の内に、しかし花束はなかった。
どうやら今日は花の種類を選んでおいただけで、後日受け取りに来るらしい。
お前も花でも贈ったったらええんちゃうか、とからかい半分で言ってみたら、ゾムは何も言わず花屋の看板を見上げていた。
それに少し、というかかなり驚く。……まさか、ほんまに実行する気か。お前が。
まぁ、それもそれで面白いかもしれないな。
シャオロンとコネシマは、こっそりと顔を見合わせる。
視線の先、Aとテオドルは花屋の店先で別れたようだった。
――――……
――……
「何なんすか、あれ」
夕方、"我々だ！"のホームの端っこのテーブルを眺めつつ、ショッピが言う。
「あー、あれな」
少し離れた席で軽食をつまんでいたシャオロンは、ひとつ苦笑した。
彼らの視線の先には、テーブルに突っ伏して微動だにしないゾムの姿があった。
それは付き合いの長い彼らにとっても物珍しい光景で、いわばあのグルッペンでさえ、下手に突っ込むことなく変な顔をしながら通り過ぎていた。
「腫れ物や、触ったアカンで」
「……？ はい」
――せいぜい気張れよ、お前。
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江之子(えのこ)(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。自分でもこの設定好きです(笑) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月15日 12時) (
レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ピヨさん» コメントありがとうございます。どちらも楽しんで頂けて私も嬉しいです。是非最後までお付き合いください！ (2020年5月15日 12時) (レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
あんり - ひいぃ...好き...もう少し続くとの事なので楽しみに待ってます！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 4620368618 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。本作品を最初からrbロ編とzム編を全て読んだのですがどちらの物語もとても面白くて、設定も個人的にとても好みで最高でした。完結まで楽しみにしています。 (2020年5月10日 8時) (レス) id: 3ec25a42f9 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 豆腐の中の棒人間さん» コメントありがとうございます。確かに言い回しは沢山考えて練っている部分ですので、褒めて頂けると嬉しいです！実はご作品の「転生者は…」を密かに楽しませてもらってます。お互い頑張りましょう！ (2020年5月6日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
