65#すれ違う ページ47
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それから数日が経ったが、二人は一言も言葉を交わすことがないままだった。
それもそのはず、何度だってAを訪ねてきたロボロを、Aが避け続けているからである。
二人は同業者、互いのホームも目の前にあって、何よりAの自宅だって彼に知られているのに、だ。
それでもロボロは、いまだAを捕まえられないでいる。
「Aちゃん、あんた、少し痩せたんじゃあないかい？」
『……そうですかね、はは、やった』
「おバカ、心配してるんだよ」
よく顔を出す八百屋の女将は、顔色も悪いし、とAの顔を覗き込む。
会計を済ませ、お代と商品を交換し終えたときのことだった。
Aが曖昧に笑って誤魔化そうとすると、女将は袋の中にぽいぽいと、買ってもいない野菜まで放り込んだ。
「よく食べて、精を出すんだよ。あんたはまだまだ若いんだから！」
『ふふ……ありがとうございます』
サービスは有難く受け取って、Aは彼女に言われた通り、やややつれてしまった顔で微笑む。
女将はまだ何かを言いたげだったけれど、Aはすっと目を逸らした。すぐにここを立ち去らないといけなかったからだ。
「――Aっ！」
荷物を抱え直したAを、遠くから呼ぶ声がする。
ゆっくりと振り返ると、肩で息をしたロボロがいた。ほんと、見つけるのが上手いなぁ。
一も二もなく駆け寄ってくるロボロへ向けて、Aは静かに歩き出した。
人々の往来の隙間を縫って、彼は必死の形相でどんどんと近付いてくる。そしてついに、目の前まで来て。
『……』
――そのまま、すれ違った。
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江之子(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。頑張ります！これからもお楽しみください。 (2020年7月13日 16時) (
レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 藻塩。さん» コメントありがとうございます。気に入ってもらえる展開でしたか！作者も好きです、書くときちょっと辛くなりましたが…(笑) (2020年7月13日 16時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - コメント失礼致します。とても面白く読ませて頂いています。これからも更新頑張って下さい。 (2020年7月12日 19時) (レス) id: 8cc228e6cc (このIDを非表示/違反報告)
藻塩。(プロフ) - 江之子さん» コメ失礼します、すんごく展開が好きです…！これからも無理しないように頑張ってください！ (2020年7月12日 14時) (レス) id: 7b5f2afcc4 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 菜の葉さん» コメントありがとうございます。登場人物たちに感情移入してもらえるとは、この上ない褒め言葉です…！頑張ります。 (2020年7月11日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
