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――想像以上じゃん。
油断させてから、牙を剥く。あのときゾムが楽しそうに言っていた通りだ。
だったら今度は、"牙を剥く"番。丸腰の緑の男が、真っ直ぐこちらに駆けてくる。
……いや、彼は本当に、丸腰だったか？
その瞬間、Aは確かに、"油断"していた。
「――A！！！」
『えっ……』
鼓膜を突くような大きな声が、二人の間を引き裂いた。
驚いて、声を洩らしてしまう。唐突に目の前に現れた刃が、Aの首筋へ飛んできて。
――ガキンッ
そして、弾かれた。
『……』
しばし硬直して、ようやっと瞬きを繰り返す。
ちょっとだけ整理してみたが、やはりこの結果は思い描いていたものとは違っていた。
「いって……」
不意打ちの衝撃に手をさするゾムが呻いた声によって、はっと我に返る。
『――ロ、ロボロさん！』
どうも、急な場面では名を呼び捨てることがいまだに出来ないでいるのだが。
努力はしてるんだよ、と誰に言うでもなく弁解しつつ、Aはそこに現れた男に駆け寄った。
『ロボロ、早かったね……何か用事でもあった？』
ロボロはすぐ傍まで来たAの腕をとったが、視線は厳しくゾムに向けている。
「……ゾム、どういうつもりや」
彼の口から出た声が、今まで聞いたことないくらいに低くて。
そこに滲んだ確かな怒りを感じ取って、Aは驚いた。
「ひひ、話には聞いとったけど、ほんまに《空間》使えるんやな」
そしてその怒りを真正面から受け止めて、ゾムは笑って肩を竦めるのだ。
ゾムがAに向けたナイフは、彼が寸止めするより前に、ロボロの《空間》魔法によって阻まれた。
「なんでや、どんな理由があって、この子にナイフ向けなあかんねん」
『え……ちょ、と』
「おー怖。そんな怒らんでもええやん」
「お、前……！」
『ま、待って！ 違う、違うんです！』
「……A」
完全に誤解をしているらしい彼の袖を引く。
全く、ゾムもそんな逆撫でるように言わなくていいじゃんとも思うが、とりあえず彼の誤解を解くのが先だ。
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江之子(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。頑張ります！これからもお楽しみください。 (2020年7月13日 16時) (
レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 藻塩。さん» コメントありがとうございます。気に入ってもらえる展開でしたか！作者も好きです、書くときちょっと辛くなりましたが…(笑) (2020年7月13日 16時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - コメント失礼致します。とても面白く読ませて頂いています。これからも更新頑張って下さい。 (2020年7月12日 19時) (レス) id: 8cc228e6cc (このIDを非表示/違反報告)
藻塩。(プロフ) - 江之子さん» コメ失礼します、すんごく展開が好きです…！これからも無理しないように頑張ってください！ (2020年7月12日 14時) (レス) id: 7b5f2afcc4 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 菜の葉さん» コメントありがとうございます。登場人物たちに感情移入してもらえるとは、この上ない褒め言葉です…！頑張ります。 (2020年7月11日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
