【実.況者】続、奇石的にマジカル！【wrwrd!】 (ページ36)

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「その前に聞くが、今日はもう一人のサブマスターは留守か？」

「……。……ふ」

　それを聞いて、アリサは口の端で息を洩らすように笑った。
ちらりと彼の斜め後ろ、グルッペンに付き従うように控えた男――トントンにも視線を寄越したのち、そのままの口角で腰を上げる。

「誰か、Aを呼んできてちょうだい。今日もお店でしょ、確か。緊急とか何でもいいから」

　そして真っ直ぐにグルッペンを見透かして、堂々と言い放った。

「事実確認でも何でも、好きにしたらいいわ。それだけで気が済むならね」

「……姉さん、いいの？」

「どうせ避けられないわよ。同業者ならまだマシなくらいでしょ」

　形の良い顎が、くい、と二階に続く階段を指し示す。

「話は奥でじーっくり聞いてあげるわ」

「それはありがたい。話が早くて助かるな」

　グルッペンは結局、何についての話なのかを一切言及しなかったが、アリサ、ハンナ、グルッペン、そしてトントンの四人は、連れ立って奥の部屋へと消えた。
あとに残った"フィリアス"のメンバー達は、しばしお互いに顔を見合わせたのち、次第に元の談笑へと戻っていく。

　その中の何人か、特に敏(さと)い古株のメンバーらは話の内容を察してはいたが、特別何かを言うことはなかった。

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