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さて、と話が一段落したところで、Aはそろそろお暇しようと思い立つ。
自分が男だらけのギルドのホームに居るのだという事実を、ふと思い出してしまったのだ。
『じゃあ私、そろそろ失礼しま――』
「あれ、ロボロお前、今日の依頼もう終わったん？」
そそくさと腰を上げようとしたところに、目の前の男の名前を呼ばれるものだから、自分まで咄嗟に振り返ってしまう。
「あんれ、君こないだの」
「あ、Aやん」
連れ立って歩いてきたのは、赤いニット帽と緑のパーカー。
「なんでAさんここ居んの」
「今日の依頼、Aさんと一緒やってん」
「へ、そうなん？」
今日あった出来事をかいつまんで説明するロボロの横で、Aは尚も居心地悪げに座り直す。
特にあの新手の魔物が登場した辺りでは、二人も興奮していたようだった。
「まじで？ うっわ、俺も行けばよかったー」
「依頼主Aやったんかー。じゃんけん負ければ良かったなぁ」
『ふふ、私だって、あの魔物は予想外でしたよ？』
シャオロンが魔物についてさらにロボロに詰め寄っている傍ら、ゾムがAに話しかける。
「なぁなぁ。あんたのその武器、もしかして特注？」
『うん、知り合いに腕の良い職人がいるの』
「まじで。そこ、紹介してくれへん？」
『あぁ、別にいいよ』
「よっしゃ、サンキュ！」
武器を新調する算段でもあるのか、ゾムはAの得物に目をつけたらしかった。
馴染みの店への簡単な地図と、あとは軽く手紙でも書いておけばいいか、とAは鞄から紙とペンを取り出す。
『えっとね、大通りの広場から南に三本目の道を――』
「あ、えぇ、えぇ地図は。要らんし」
『え？ じゃあ、紹介状とか？』
「要らん要らん」
『でも紹介してって』
「せやから。自分明日ヒマ？」
いつの間にか、明日の予定が決まっていた。
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月25日 23時
