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「うわっ、何やこれ！」
予期せぬことで体勢を崩した二人は、しかし踏ん張るべき地面が揺れて、その場に膝をつく。
A達でさえこうなのだから、子供たちは言うまでもなく。立っていられず倒れる子供たちに、Aは一層焦った。
しかもそれにとどまらず、地面が揺れたことで結界にヒビが入ってしまったのだ。
『……やばい』
とにかく、落ち着け。
必死で言い聞かせ、状況を見る。
波打ったのはやはり、魔物の根っこのせいだった。
驚いたのは、地面から覗いた立派な根のその先が、もう一方の魔物と繋がっていたこと。
「こいつら、元々繋がっとったんか！」
『根っこの真ん中、異様に膨らんでます。きっとあれが！』
「オッケー、弱点やなぁ！」
威勢を取り戻したように、ロボロは持ってきていたクロスボウを構える。
――とにかく、まずは結界を張り直さないと。
元々繋がっていたからといって敵の数自体は変わらないが、ひとまずロボロに背中を任せる。
子供たちを振り返ると、皆目立った怪我はしておらず、意識もあるようだった。
『ごめんねみんな。あともう少しだから』
安心させるようにそう言い、Aは笑ってみせる。
後ろでは矢の飛ぶ音と、魔物の呻き声が聞こえていた。ロボロが優勢なようだ。
今のうちにと《空間》魔法で再度結界を構築する。二段階ほど《強化》を重ね、先程よりも堅い守りに。
それを確認してすぐに、Aはロボロの隣へ戻った。
『お待たせしました！』
「……あっかんなー、枝が邪魔や」
ロボロは肩を竦めて独りごちた。
着々とダメージは積み重なっているのだろうが、いまいち決定的な一手が打てないようだ。
枝は全部で四本。
内二本はAが焼いて黒焦げで、もう二本はクロスボウでできた傷なのかところどころ欠けてボロボロだ。
にもかかわらず、魔物はそれでも鞭のように攻撃をしかけてくる。
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月25日 23時
