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『……』
敵わないなぁ、とふっと笑う。
眠る竜王が遠くに見える位置で、ひっそりと座り込んで静かに言葉を交わす私たち。
『さっきの様子が、どうしても気になって』
「さっきの、って……竜王ですか？」
『はい。……あんな風に怒るの、見たことがなかったので』
「……そうなんですか？」
ショッピさんがこちらを見やる気配がしたけれど、竜王を見つめる私につられて、やがて彼もそちらに視線を向けた。
しばらく二人して竜王を見つめていたが、ふと、うーん、と唸る声が聞こえてくる。
「そうですかね……？」
『え？』
「俺はむしろ、一発くらいは殴られる覚悟やってんけど」
『えぇ？』
そうだったの、という驚愕は呑み込んで彼を見やると、ショッピさんは続けて言った。
「A嬢が、熱で寝込んだときあったでしょう。あの日、竜王にも一応知らせに行ったんすよ」
というと、あの大雨の次の日のことか。それはそれは、あいつは私のドジを心底馬鹿にして笑ったでしょうとも。
「同じでしたよ。斜面を落ちて、って話をした瞬間血相変えて……無事なのか、って」
『――え』
「その後二人の関係聞いて、俺は納得しましたけど」
『(……いや、いやいや)』
それはおかしい。だって、私達は確かに周りと比べても仲の良い姉弟だったとは思うけど。
それにしたってあんな――あんな風に我を忘れて怒るような関係でも、心配性な性格でもなかったでしょう。
私のよく知る"彼"とも、竜王の性質ともまた違う一面。
結局考えても納得できる答えは出ずに、私たちは再び押し黙った。
「――ひとつ、聞いても、ええですか」
幾分か時間が経ってから、彼はそう聞いてきた。
静かなのは変わらないけれど、ほんの少しだけ、躊躇いも感じるようなそんな声音。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
