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「《ぜってぇ、ここから出るなよ》」
『……《う、うん》』
かろうじて頷いて返すと、竜王はくるりと背を向ける。
『《ま、待って！》』
思わず呼び止めてしまった。
振り返った竜王は、やっぱりほんの少しだけ怒ったように目を細めていた。
『《その……大丈夫？》』
「……。《お前は、自分の心配してろ》」
『……』
吐き捨てるようにそう言って、竜王は元の姿に戻ってしまう。
蹲って頭を隠してしまった体勢で、これ以上の接触は無理だと分かった。
「――お、おい。大丈夫なんか」
尋常ではないやり取りに、竜の間にいる全員の視線が集中していた。
代表して囁くように尋ねてきたシャオロンさんに、ショッピさんは肩を竦めてみせる。
「まぁ見ての通り、怒られましたけど」
「……お前なぁ。肝が冷えるっちゅうねん」
苦い顔を浮かべるシャオロンさんの後ろから、今度はグルッペンさんが進み出た。
「ショッピ、何か策があるのか？」
いつもより厳しい表情で、グルッペンさんは問うた。
ショッピさんはそれを静かに見返して――そしてやっぱり、軽い口調で返してしまうのだ。
「さぁ？ これから考えます」
この返答には流石に私だって驚いたけれども、グルッペンさん達だって虚を突かれたはずだ。
ぐっと目を見開いて硬直した彼は、しかしすぐにぶっと吹き出した。
「ふ、くはは、そうかそうか。それじゃあまぁ、期待しとるゾ」
「えぇ」
「それから、A嬢」
『は、はい』
私を向いた瞳は柔らかく、グルッペンさんは眉を下げて笑っていた。
「情けないことにこんな状況ではあるが……。君が来てくれて、正直ほっとしている」
『……』
「安心してくれ。竜たちは、絶対に渡さない」
『……。はい』
力強いなと、素直にそう思った。
彼だけじゃなくて、その後ろにいる人々の目も、全て。
もう一度だけ振り返ったそこには、一定の落ち着いたリズムで呼吸を繰り返す竜王がいた。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
