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「え？」
「最初から、狙ってましたから。ここまできて、みすみす逃がすとか有り得ないっす」
「は……え、は？」
「じゃ、夜遅くにすんませんでした」
「ちょ、ショッピ君！？」
無慈悲にも閉じられた扉に、逆にこちらが締め出されたのかと勘違いしてしまいそうになる。
あとに残された自分は、最後に見えた不敵に笑んだ男の顔を思い出して、そうして言われた言葉の意味を考えて、そして渇いた息を吐いた。
「……はは」
……そうかそうか、最初から。
最初から彼の視線の向く先が動いていないのなら、途中の変化に気付くとかじゃなくて、変化そのものがなかったのだ。
その僅か数日後に、愛するお姫様を本当に連れ去って帰ってきたのを知って――その助言をしたのは自分だと、どうかトントンにだけは言わないでくれと切に祈った。
「……おい、話は終わりか？」
「ん、あぁ、ごめんごめん」
記憶を思い起こしていたせいで止まっていた口を、再び動かし始める。目の前の男は、眼鏡の奥の瞳を訝しげに細めていた。
「でな。その娘に真っ先に話しかけて、二日目には自分の家族に紹介してな」
「……？ おん」
「挙句、サポート役なんて真っ当な理由つけて、ずぅっと自分の横に置いておくとするならさ」
そこまで言ってトントンは、ようやく誰の話なのかに行きついたようだった。
驚きに彩られ、ぽかんと開いた口がありありと感情を物語っている。
男は最初から彼女に捉われていたが、女のほうもその次の瞬間から、彼に捕らわれていたに違いない。
「それはまさに――最速で外堀を埋めにいったと、そう思わへん？」
一層目を見開いて、きっと予想外の答え合わせを果たしてしまったであろう彼は、じゃああいつ最初から、と呟いて。
調子に乗って、トンちも見習わんとな、と宣えば、否応なしに飛んできた平手によって眼鏡がどこかへ消えていった。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
