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「っと……んだよ、結局すんのかよ！」
『するわよ！ 全く、したいならしたいって素直に言いなさいよね』
「はぁ？ 俺は別に――」
でも、そうじゃなくていい。私は人間で、彼は竜だけど。
私たちはこれからも、変な線なんか引かずに、寄り添い合って生きていけばいい。
いくら頭に言い聞かせても。何度心を諭してみても。
きっとこれからも私はこいつの中に"弟"を見るし、こいつも私の中に"姉"を見る。
だけど、それが私たちの生き方でいいじゃあないか。ちょっとだけ特殊な、私たちの。
『大好きよ。"昔"から、ずっと』
「……。おう」
もしもこの世界で、もう一度彼と巡り会えたのが運命なんだとしたら。
……そうだとしたらちょっとだけ、神様とやらに感謝してやってもいいかな。
「っくく……《おい、あれ見てみろよ》」
『え？』
ほわほわと感傷に浸っているところで、突然くるりと強引に向きを変えられた。
「《ありゃあ、まさに般若だな。……嫉妬深い男は苦労するぜぇ？》」
『《……。今にもあんたに殴りかかりそうね。いっそ、一発殴られてあげてくれる？》』
「《はん、やなこった。おらさっさと行け》」
先程までの従順な態度はどうしたとも言いたいくらい、竜王は素っ気なく私の背中を押しやる。
「おいショッピ。お前も分かっただろ、こいつが後先考えねぇの――いや待った、そういやお前も似たようなもんだったな」
今度はショッピさんに迎えられた私の後ろで、竜王はガシガシと頭を掻いた。
「ったく、ある意味似たもん同士ってことか」
――いちゃいちゃすんなら余所でやれよ。
肩を竦めて呟いてから、彼はけっと唾を吐くように私たちを追い出そうとする。……それ、絶対村の人にはやらないでよね。
『……帰りましょうか』
私が言うと、ショッピさんも頷いた。
「あー……なんだ、その」
踵を返しかけた私たちに、再びかけられた言葉。振り返ると、竜王はにやりと口角を上げていた。
「少なくともお前らが生きてるうちは、この偉大な竜王サマがこの村を見守ってやるよ。……"昔"のよしみじゃねぇ、今世の借りだ」
『……。うん』
時が経てば、人の暮らしは移り変わっていく。そして竜との付き合い方もまた変わっていくだろう。
そのときはまた、そのときを生きる人々が、共に生きる道を模索してくれればいい。
そう、思った。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
