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「――大丈夫か、二人とも！」
しばらくして肌の痺れがとれてくると、村の男性陣や王都の兵たち、そして殿下もこちらへ駆け寄ってくる。
ショッピさんの手を借りつつ、私たちも立ち上がった。
「恐ろしい力だな……」
呟いた殿下は空を見上げて、驚愕やら畏敬やら、上手く言い表せないような複雑な表情を浮かべていた。
「――敵軍が、退却していきます！」
やがて偵察兵からのこの知らせにより、五日間の戦線は無事、幕を閉じたのである。
――――……
――……
長い間旋回を続けていた竜たちが、脅威が去ったと判断したのか、竜の間へと戻っていったのがつい先程。
反対に竜の間から出てきた村人たちは、一様に安堵の表情を浮かべていた。
家族や親しい人たちとそこかしこで抱き合う姿が見られて、心底ほっとする。
たったの五日間ではあったが、怪我人はあれど死者はなかった。彼らはまごうことなき"竜の守り人"だったのだ。
彼らは勝利に喜びつつも、早速と村の復興へと思考を切り替えているようだった。
強いなぁ、とぼうっと眺めていると、ぶら下がっていた手を優しく握られる。
確認せずとも隣にいる人が分かっていたから、無性に泣きたくなった。
何だか顔が見れなくて、俯いていると。
「――A嬢」
『あ……殿下』
先に私の名を呼んだのは、隣の彼ではなく殿下だった。
さっきまでグルッペンさん辺りと話をしていたような気がするが、いつの間にか私の方に来ていたらしい。
『殿下、この度は本当に――』
「いや、礼など言わないでくれ。……実を言うとね、これを機に竜たちに恩でも売れればと、少しだけ、考えていた」
内緒話のように、こそりと囁く第一王子殿下。どこまでが本音かは正直よく分からない。
どう返答すればいいのか、困り果てていると。
殿下はくすり、眉を下げて笑った。
「だけど結局、分かったのは……竜たちは到底、人の手になど負えるものではないということだけだったな」
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
