49#覚醒 ページ19
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びりびりと、肌を刺さんばかりの轟きが脳を揺らし、動けなくなる。
思わずかくりと力を失った膝が、そのまま地面に崩れ落ちた。私を支えていた彼も、同じように倒れ込む。
そのままで空を仰げば、まず初めに銀色が見えた。
『(こ、れって……)』
それが竜王の体躯であると分かり、そして先程の轟音が、まさしく竜王の吠えだったのだと理解が追いつく。
そこまで考えて、自分が生きているということを呆然と悟った。
蹲っていたはずの竜王は、いつの間にか鉄の網から解放されて、私たち二人を守るように悠然とそこに立っていた。
ふと目線を前にやると、私たちにぶつかるはずだった砲弾が何メートルか前に落ちている。
『(何が起こって……まさか暴走――いや)』
「――これが、覚醒……」
すぐ近くで呟かれた声で、やっと納得した。
そうか、これが。この姿こそが。
『(竜王の、本当の姿)』
放心状態だった私たちの頭上で、竜王は一度翼をはためかせる。
ぶわりと風を舞い起こし、強く地面を蹴って空へと飛んだ彼の瞳が、黄金の光を放っていたのが一瞬だけ見えた。
空中で停止した竜王は、下からでも見えるくらいに大きく息を吸って。
『――！』
またしてもあの、轟くような吠えを吐き出す。
ぐらぐらと、地震のような感覚でもあった。竜の王の叫びは、ちっぽけな人間たちをただ萎縮させる。
いつだったか、覚醒について古い文献を見せてもらったことがあった。
"
千年以上前の古い言葉で、そう記されてあった。
あのときは実感の沸かなかった内容が、たった今現実に起こり、私たちの身をもって証明されている。
「……ぐ、すごいな……。A嬢、平気ですか」
『は、はい……なんとか』
といっても先程から身体に力が入らなくて、ショッピさんに凭れかかってしまっている状態だ。
竜王の吠えが終わると、今度は周りの竜たちが一斉に吠え出し、力強く羽ばたいて空を旋回し始めた。
その光景はまさに、圧巻、の一言だった。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
