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「……？ 外が、騒がしいですね」
近くにいたソフィーさんが、不安そうに言った。
もちろん騒がしいといえば、大砲の音が響く先程までも、騒がしいに違いなかったのだけど。
そうじゃなくて何というか、雄叫びのような野太い声がひっきりなしに上がるような。
もう少し集中してみると、馬の蹄が地を叩くような音も聞こえてくる。
「まさか、敵兵がここまで……！？」
竜の間に、一気に恐怖が広がった。
ここを出られないことにやきもきしていた自分も、いとも簡単に身が竦み上がる。
どくどくと鳴る心臓の音にひたすら耐えていると、ついに馬の蹄の音が、亀裂に侵入してこちらへ近付いてくるのが分かった。
『……っ』
「Aさん！？」
気が付けば、端に寄せてあった余りの弓矢を手にとって、それが入ってくるであろう穴に向けて構えていた。
手は恐怖で震えているし、何より弓を持ったことなんて一度もない。それでも無我夢中で矢をつがえて、弦を引き絞る。
ひゅうひゅうと喉が鳴る。馬の影が、暗闇から飛び出した。
「――おっと。熱烈な歓迎だ」
『……！ で、んか――い"っ……！』
「っ、A嬢！？」
その背に跨った意外な人物に驚いたのと、そもそも矢のつがえ方がなっていなかったのと。
つい離してしまった指によって、矢はぽとりとその場に落ち、弦が私の手を強くはじいた。
「大丈夫かい……？ 全く、君にはいつも驚かされるな」
『で、殿下……どうして、ここに』
王都の城に居なくてはいけない人物が、私の手のひらについた一筋の傷を心配している。
震える声で尋ねる私に、鎧を纏って武装した第一王子殿下その人は笑ってみせた。
「大切な国土を荒らされて、黙って見過ごす訳にはいかないからね。……それに、女性の涙には弱いんだ」
殿下はそこまで言って、へたり込んでいた私を引き上げた。
「傷の手当は出来る？ 彼女、怪我をしてしまったんだ」
「は、はい……！」
『あ、あの――』
「心配しないで。君の願い通り、兵を連れてきた。もちろん、後続で援軍も来る手筈になっている」
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
