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「……」
竜王は、私の足音に気付いてこちらを見やる。
『……。《大丈夫？》』
「……」
結局上手い言葉も見つからないまま、昨夜も投げかけた同じ言葉を放っていた。
ショッピさんはああ言ったけれど、正直。竜王のあの態度が気にかかったまま、頭から離れない。
彼が何だか、私の知らない何かに苦しんでいるようで。
『《あまり、無茶はしないで》』
「……グオ」
最後の啼き声は返事をしたというより、私に向けて念を押したようだった。
竜王はひとつその場ではばたくと、他の竜たちを連れて大穴へと飛び込んでいってしまった。
「――A嬢！」
『……！ ショッピさん、起きたん――わっ』
ぼうっと見送るまま突っ立っていたとき、後ろからかかった声に振り返ろうとする。
が、振り返りきる前に背後から抱きすくめられた。
『ショ、ショッピさん？ どうしたんですか、いきなり』
さっきまで平和に眠りこけていた人だとは思えないほど、いやに力の入った腕だった。
「……起きたら、横に居らんから」
『……。あー……すみません、竜王と話してて』
「また、どっかに行ってしもうたんかと、思った」
『そんな、行きませんよ』
「……いや、あんたは前科があるでしょう」
『うぐ……』
これについては、この先も何かにつけて責められそうだなぁ。
そんな風に苦笑を洩らしつつ、さらに力の籠る腕をぽんぽんとあやす。存外不安症ならしい、彼の新しい一面を見た。
そのまま黙りこくってしまったショッピさん。いやぁ、どうしろっての。
『……今日も、出るんですよね』
「そりゃあ、まぁ。……何です、一緒にいて欲しいですか」
『……。……はい』
「――！」
……何よ。いいえ、って、そう答えるとでも思ったの？
私の返事が予想外だったとでもいうように、息を呑む気配がする。
一緒にいて欲しいかと聞かれたから、目に見える距離ですぐそこに、危険な場所になんて行かずに、傍にいて欲しいに決まってるでしょう。
『でも、私たちと、竜たちを守るために、戦ってくれてるんですよね』
「……はい」
ただ、それでも引き止めるかと聞かれたら、いいえと、そう答えるだけであって。
私の意図は分かったと、そう言ってくれるかのように。彼はまた、ぎゅうと腕を強めた。
『……。あのう、でもそろそろ、本当に周りの視線が痛いので……』
「……」
『(ちょっとぉ……)』
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
