弐拾伍 ページ34
雛鶴は辛そうな顔をして頷いてくれた。
『ありがとう。でもごめんなさい。私には雛鶴が苦しい思いをしてしまう方法でしか貴女をここから出すことが出来ないの。』
「私も元はくノ一の端くれです。やってみせます。どのような方法ですか。」
私は毒とその解毒剤を雛鶴に渡した。勿論毒はできる限り弱いものにしたわ。
『これは毒よ。飲むと吐血してしまうのよ。けれど絶対に死なないわ。本当よ。これを飲んで病気だと思わせるの。そうして1度切見世へ行って、そこから逃げ出す。恐らくここよりは逃げ出しやすいはずよ。』
「分かりました。A様、しっかりと成し遂げます。」
ごめんね。毒なんて飲ませたくなかったのに。これ以外に考えられなくて、ごめんなさい。
『此処を出たら真っ先に解毒剤を飲むのよ。絶対に、何があっても自分の体を大切にしなさい。それとこれを渡しておくわね。』
そう言って差し出したのは、日輪刀を包んでいる布と同じ物で包んだ小刀。この小刀は私がいつも持ち歩いている物。日輪刀と同じ材料でできているわ。
『何も無いことを祈るけれど、何かあればコレで自分を守って。きっと役に立つはずよ。』
ここから少し細かい所まで話し合っていると、大体決まったところで少しずつ堕姫の気配を感じる。
雛鶴が毒を飲むのは2日後。今日から少しずつ調子が悪いように見せていくようにする。
___2日後___
私が自室にいると禿の子が走ってきた。
「A花魁!!雛鶴花魁が!!」
内容は分かっているけれど、聞かないと。本当は今すぐにでも行きたいのに。禿を落ち着けて話を聞いて、急いで雛鶴の元へ行く。
『雛鶴!!』
雛鶴を見ると口元や着物が赤く染っている。吐血したのね。ごめんね、苦しいわよね。
騒ぎが落ち着くと、雛鶴は病気だと判断され、切見世へ移動することになった。
雛鶴が京極屋を出る時やはり堕姫は帯を渡した。私は不自然にならない程度に悲しみ、涙をうかべながら、贈り物という理由で藤の花の香りのする簪を渡した。
『私たちにとって藤の花は大切な思い出だもの。ずっと一緒にいることができなくても、きっと私達を繋げてくれるわ。必ず会いに行くから、絶対に会いに行くから、待っていてね。』
雛鶴は最後まで私に微笑みながら切見世へ行った。私は雛鶴が見えなくなった頃に泣き崩れ、そして暫くは悲しみから部屋に篭もりがちになってしまった。と、いうことにした。その間も堕姫の気配が消えないので天元に報告が出来ない状態なの。そろそろ炭治郎達が来るかしら。
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むいむい - ラインのプロフィールのところに長女ちゃんの絵を使っても良いでしょうか (7月2日 13時) (レス) id: 0d0f0690eb (このIDを非表示/違反報告)
メア様推しの人 - どうしたらそんなに絵が上手くなるんですか? (6月4日 23時) (レス) @page16 id: b2dbf5b4a0 (このIDを非表示/違反報告)
れーー - 絵うますぎ (2020年10月28日 22時) (レス) id: 69c853c22b (このIDを非表示/違反報告)
ほ - 16歳だったら、御館様と歳近すぎません?(( (2020年8月23日 18時) (レス) id: 0579cbeafd (このIDを非表示/違反報告)
くるみっこ - (あんぐり)えっ絵上手すぎ‥手の書き方神やん (2020年5月23日 6時) (レス) id: 65e7743a54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜簪 | 作成日時:2019年11月27日 22時