手袋−２ ページ39
たぶん、足も臭くない。むしろ、爽やかな香りがするかも。
……ハァ……。バカな妄想しちゃった。
お弁当を包んでいると、シャワーを浴びた航希が出てきた。
「これ、余り？ もらうよー」
航希は、さっき狙っていた肉巻きをぽいっと口に放り込む。
「ちょっと、雫が落ちてる。ちゃんと体拭きなさいよ」
「はーい」
タオルでガシガシと髪を拭くから、そのへんに雫が飛び散る。もうっ！
「姉ちゃんの彼氏ってさー、少食すぎん？」
二人分にしては小さめのお弁当箱をちらっと見て、航希が首をかしげる。
「あんたみたいに大食いじゃないだけ」
「っていうかさー、よくお弁当作ってるけど、外食しないの？ もしかして、ドケチとか？」
「違う！ あとまだ彼氏じゃないから」
「えー、なにそれ。毎週末会ってるのに？ 超奥手じゃん。ね、どんな奴なの？」
返事しにくい質問にどうしよっかなーと困っていると、
「ただいま」
母親が帰って来た。
「航希、まだいたの？ 今日、塾の振り替えでしょ」
「あ、やっべ、そうだった」
母親に指摘された航希が慌てて二階へ上がっていって、私はホッとした。
「今日も例の彼と？」
「うん。……今日はいつもより遅くなるかも」
「あら、ついに？」
「は？」
心なしかウキウキした表情の母親。ついに……って、なによ。
「いや、違うから。スケートの練習の見学に誘われたの」
「そうなのね」
母親はなぜか少しガッカリしている。
「だけど、大変ね。普通に外食したり、映画観たりはできないんでしょう？」
「まあね」
「それでも、彼がいいんだ？」
「……うん」
結弦くんといれば、普通は望めない。
でも、それは私の中で大きな問題じゃなかった。
「そう。じゃ、二階の納戸の奥にあるダンボール箱は自分の部屋に戻しちゃいなさい」
「箱？」
「Aが捨てようとしていた羽生くんグッズよ」
「え、お母さん、取っておいたの？」
他の不用品と合わせて捨てるように玄関先に置いていたのに。
「十年も好きだった相手よ。いつか捨てたことを後悔するんじゃないかと思って。ちょうどスペースも空いていたしね」
図星だった。
あの中には結弦くんの雑誌やDVDだけじゃなく、メアドを交換したときのメモ書きとか、結弦くんからもらった手袋も入っていたから。
「母に感謝しなさい」
「うん、ありがとう」
やっぱり、母親には敵わない。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、コメントありがとうございます。しばらくじれったい状態を続ける予定です(笑) 罪悪感と妄想の狭間で悩みますが、結局妄想には勝てない。心の中で羽生さんに謝りながら書いています(^_^;) (2022年1月12日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ちなみに、罪悪感は、私の場合三日くらい経ったら消えます(笑)最初はすごくあったけど、結局妄想は止まらない感じ…。申訳ないですよね、ほんと。 (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - くっつきそうでくっつかない(笑)じれったい二人をまだまだ見ていたいです＾＾毎日楽しみにしています！ぜひぜひ羽生さんに幸せをあげてください！ (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年12月18日 20時
