ただ、好きなだけ−４ ページ36
＜Yuzuru Side＞
「解説者やるとしても、周囲がもう少し落ち着いてからですかね」
「そっか」
これまで夢中で走り続けてきた。息継ぎすら、忘れて。
だから、今は、立ち止まるときなんだと思う。
先のことは未定でいい。
プーさんのティッシュケースからティッシュを取り出し、鼻をかんでいると―――笑みを浮かべた奈々美先生と目が合う。
「……なんですか？」
「いえ、ね。この前会ったときとだいぶ雰囲気変わったなーって」
「そうっすかね？」
「うん、一言で表すなら……幸せでにやついてるって感じ？」
「にやつくって……、ひどくないですか」
ジロッと睨むと、奈々美先生は「あら、褒めてるのよー」とあっけらかんと言う。
「否定しないってことは、幸せな変化があったってことなんだ？」
「……えっと、まあ、そうですね」
「あ、まさか、噂って本当だったの！？」
奈々美先生が手のひらをぽんと打つ。
「噂？」
「清水奈々さんよ」
ああ、ファンの間で一時期出回っていたやつか。
報道されたわけでもねーのに、よく知ってるなと感心していたら、
「ゆづのことなら、教室の子たちが逐一教えてくれるから」
と、奈々美先生は苦笑いする。
なるほど、若い子のSNSを通しての情報収集力って半端ないもんな。
「奈々ちゃんとはなにもないです。その子、スケーターじゃないし」
「へー、意外。彼女にするならスケーターの子がいいって以前言ってなかったっけ」
あー、そう考えていた時期もあったような、なかったような。
「ゆづにもついに彼女ができたか。ってことは、やっと卒業？」
「どうして話をそっちに持っていくんですか」
ただでさえも、恥ずかしいのに。
「それにまだ彼女じゃありません」
「つまり、好きな子ができて、その子といい感じだから浮かれていると？」
「もうやめません？ この話」
「そうはいかないわよー。大切な教え子のことだもの」
完全に楽しんでるな。
結局、奈々美先生からあれこれ問い詰められて、今の彼女との関係を白状させられるハメになった。
「なんだー、もう付き合ってるも同然じゃないの。さっさとモノにしちゃいなさいよ」
「先生……お酒でも飲んでます？」
「なに言ってんの、恋愛もジャンプもタイミングが大切よ。それでなくても恋愛下手なんだから、ボーっとしていたら逃げられちゃうわよ。躊躇する理由があるの？」
「……それは……」
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エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、コメントありがとうございます。しばらくじれったい状態を続ける予定です(笑) 罪悪感と妄想の狭間で悩みますが、結局妄想には勝てない。心の中で羽生さんに謝りながら書いています(^_^;) (2022年1月12日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ちなみに、罪悪感は、私の場合三日くらい経ったら消えます(笑)最初はすごくあったけど、結局妄想は止まらない感じ…。申訳ないですよね、ほんと。 (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - くっつきそうでくっつかない(笑)じれったい二人をまだまだ見ていたいです＾＾毎日楽しみにしています！ぜひぜひ羽生さんに幸せをあげてください！ (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年12月18日 20時
