ただ、好きなだけ−２ ページ34
これまで二回告白されて、そのたびに断って。最初は気まずさが残っても、友達関係を継続してきた。
でも、今回は違う気がする。
最後に見た、蒼の真剣な瞳―――たぶん、蒼は覚悟している。
結果がどちらになっても、友達には戻れないと。
蒼が私と友達に戻る気がなければ、私たちの関係は終わる。
「あーあ、今年のグランプリシリーズは羽生くんがいないからつまんないなー」
突然、結弦くんの名前が出てきて、ドキッとした。
「青木さん、フィギュアスケート好きなんだ」
「はい、平昌オリンピックで羽生くんを見てから、ハマちゃって。羽生くん以外の選手も応援しているけど、やっぱり物足りないですよ」
「そうよね〜」
青木さんと年配のスタッフさんの話に耳を傾けながら、私は黙ってお弁当を食べる。
「でも、彼なら解説者で出てきそうじゃない？」
「そしたら、試合そっちのけで羽生くんばかり注目されちゃうかも」
「ありえるわね。引退してもマスコミに追いかけられているって聞くし、人気があるのも大変よね」
「そうそう、恋愛とかできてるのかなぁ」
コンビニで買ったお弁当を食べ終わった青木さんは、ごみを片付けながら言う。
「二十七だっけ。彼女ぐらいいるでしょうね」
「そういえば、少し前に、清水奈々ちゃんと噂になっていましたよ」
「まあ、美男美女でお似合いじゃない」
「ファンの間の噂だから真偽はわかりませんけどね」
……知らなかった、そんな噂。
清水奈々ちゃんといえば、現役時代は妖精のように可憐で、人を惹きつける演技をする選手だった。
美人だし、手足が長くて小顔で、清楚なイメージ。
スタッフさんの言葉どおり、結弦くんとお似合いだ。
少し前って、いつ頃なんだろう。
噂されるってことは、二人は仲がいいんだろうな。
ただの噂だ。
そう簡単に片づけてしまえないのは、私では結弦くんに相応しくないと自分が一番わかっているから。
どんなに背伸びしても、私じゃ結弦くんと並び立てない。
すっかり食欲がなくなった私は、お弁当箱の蓋を閉める。
いつの間にか違う話題になっている青木さんとスタッフさんの会話は、私の耳には入ってこなかった。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、コメントありがとうございます。しばらくじれったい状態を続ける予定です(笑) 罪悪感と妄想の狭間で悩みますが、結局妄想には勝てない。心の中で羽生さんに謝りながら書いています(^_^;) (2022年1月12日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ちなみに、罪悪感は、私の場合三日くらい経ったら消えます(笑)最初はすごくあったけど、結局妄想は止まらない感じ…。申訳ないですよね、ほんと。 (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - くっつきそうでくっつかない(笑)じれったい二人をまだまだ見ていたいです＾＾毎日楽しみにしています！ぜひぜひ羽生さんに幸せをあげてください！ (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年12月18日 20時
