理解不能−５ ページ23
「……ちょっと、スルーせんでよ。なんか反応してくれないと、恥ずかしいじゃん」
「え、……あ、うん」
完全に思考が吹っ飛んで、魂が抜けてたわ。きっと、今、私の魂は天国まで旅してた。
「うんじゃなくてさー」
「あ、そうだね。えっと、私も結弦くんに会いたかったよ」
「なに、その取って付けたみたいな言い方」
ぷくーっと頬を膨らませた結弦くんは……二十七歳男子とは思えない、愛くるしさ。
持って帰って、部屋に飾っておきたい。
「明後日、予定ある？」
「日曜日？ ないよ」
「じゃあさ、お弁当作ってよ」
この前の約束、覚えていたんだ。
「それは、いいけど。でも、どこで食べるの？」
さすがに公園ってわけにはいかないよね。
「あー、そうだな。俺の部屋にする？」
「え！？」
「人目につかなくて、一番安全だし」
「……安全……」
たしかに、そうだよね。
そうだけど……いくら可愛くても結弦くんは男性。
一人暮らしの男性の部屋に行くってことは、なにがあっても許容したとみなされるって聞くし、身構えてしまう。
「いい？」
上目遣いで見つめてくる結弦くんに他意は窺えない。
結弦くんは清廉潔白な人だ。
邪な妄想する私のほうが不純だわ。
「うん、結弦くんさえよければ」
「じゃ、決まりね」
にこっと笑った結弦くんは、その後家に着くまで終始口元に笑みを浮かべていた。
「今日は送ってくれて、ありがとう」
お礼を言ってから、車を降りて助手席のドアを閉める。
結弦くんを見送ろうと、車から二、三歩下がったときだった。
「―――A？」
「お父さん」
隣りのクリニックから自宅に戻る途中の父親がすぐそばに立っていた。
お産だったり、妊婦さんの体調の急変だったり、父親が夜中でもクリニックに呼び出されるのは日常的なこと。
「友だちに送ってもらったのかい？」
父親が私の背後の車に目を向けようとするから、
「あ、うん。疲れたでしょ、早く家に入ろ」
私は慌てて父親に駆け寄り、背中を押した。
結弦くん、早く車出して―――と、念を送ったつもりだったけど。
後ろから車のドアが開く音がして。
「こんばんは。夜分遅くにすみません」
運転席側から降りた結弦くんがこちらにまわってくる。
「初めまして、羽生結弦です」
そして、夜中だから声はひそめているけど、はっきりと名乗った。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、コメントありがとうございます。しばらくじれったい状態を続ける予定です(笑) 罪悪感と妄想の狭間で悩みますが、結局妄想には勝てない。心の中で羽生さんに謝りながら書いています(^_^;) (2022年1月12日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ちなみに、罪悪感は、私の場合三日くらい経ったら消えます(笑)最初はすごくあったけど、結局妄想は止まらない感じ…。申訳ないですよね、ほんと。 (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - くっつきそうでくっつかない(笑)じれったい二人をまだまだ見ていたいです＾＾毎日楽しみにしています！ぜひぜひ羽生さんに幸せをあげてください！ (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年12月18日 20時
