心のブレーキ−３ ページ17
「そう……」
よかった……。
万が一、一緒にいるのが結弦くんだとバレたら、私だけの問題で済まないもの。
「最近、出会った人？」
「え？」
「あの彼」
「そうじゃないけど……」
「好きなんだ、彼のこと」
穏やかな口調で、静かに問われる。
結弦くんを好きなのか？
私はその答えをまだ持ち合わせていない。
今の結弦くんに惹かれているし、また好きになるのは容易いと思う。
でも、なにかが私の心にブレーキをかけている。正体が見えないなにか。
「……好きか、まだわかんない。好きになっていいのかも……」
「え？ まさか……不倫じゃないよね？」
変な言い回しをしたせいで、蒼が突拍子もない発想をしてきた。
「そんなわけないでしょ」
「なんだ、よかった。……じゃ、どうして―――」
また、蒼が足を止める。
この様子じゃ駅までの道のりは遠そうなんて、くだらないことを思っていたら……。
「もしかして、この前の男がアイツなの？」
「アイツ？」
「Aが高校の頃に好きだった男。Aを置いて海外へ行った奴だよ」
語気を強めた蒼を見上げる私の顔色は、きっと変わったと思う。
「日本に帰って来てたんだ」
「……うん」
「なんだよ、それ。ふざけてる」
「蒼？」
「散々、放っておいたくせに、帰国した途端にAにちょっかい出してくるなんて、どういう神経してるんだよ」
「べつに、ちょっかいだなんて」
「じゃあ、Aから彼に会いたいって言ったの？」
「……それは……」
言い淀んだ私に、蒼は肩で息をついた。
「俺、Aにフラれたからこんなこと言ってるんじゃない。そいつがAを幸せにできるなら、俺だって諦める。でも、Aの話を聞く限り、そうは思えないから」
「……私の話？」
高校のときに好きだった人が海外へ行って会えなくなってしまった。―――それぐらいしか蒼に言ってないはずだけど。
なんで蒼の中でこんなに結弦くんの心証が悪いの……？
「好きだと告白しておきながら、付き合わない。メールもそいつの気が向いたときだけ。帰国することは知らせず、電話一つ寄越さない」
「……私……。蒼に、そんな話したっけ？」
「だいぶ前にね。大学卒業した次の年ぐらいだったかな、Aがめずらしく酔っぱらっていて、その男のこと話してくれた」
……薄っすら覚えがある。平昌オリンピックのすぐ後ぐらいだ。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、コメントありがとうございます。しばらくじれったい状態を続ける予定です(笑) 罪悪感と妄想の狭間で悩みますが、結局妄想には勝てない。心の中で羽生さんに謝りながら書いています(^_^;) (2022年1月12日 22時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ちなみに、罪悪感は、私の場合三日くらい経ったら消えます(笑)最初はすごくあったけど、結局妄想は止まらない感じ…。申訳ないですよね、ほんと。 (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - くっつきそうでくっつかない(笑)じれったい二人をまだまだ見ていたいです＾＾毎日楽しみにしています！ぜひぜひ羽生さんに幸せをあげてください！ (2022年1月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年12月18日 20時
